カスタムメイド10.30

カスタムメイド10.30

2005年12月8日 渋谷シネクイントにて

(2005年:日本:121分:監督 ANIKI)

この映画の予告編を見た時は、奥田民生のライブのドキュメンタリーだと思いました。

しかし、これは、奥田民生のライブの時出た話をふくらませていく内に出来上がったという青春、家族、ファンタジー、音楽・・・なんでもありのカルトっぽい映画。ポップカルチャー映画かもしれません。

主人公は広島の高校三年生、小林マナモ(木村カエラ)学校はつまらなく、キャバクラでバイトしながら、バンドでギターを担当。

そこへ両親の離婚でイギリスに行ってしまった妹、みなも(西門えりか)が転がり込んでくる・・・小さくて細身の姉、マナモに比べて、体も大きく、度胸があって気が強い妹、みなも。当然ながら、この2人、仲が悪い。ばこばこ殴り合いの喧嘩をする2人。

そこで、天使見習いの2人組、小倉一郎と加瀬亮が、この姉妹を2004年10月30日、奥田民生が1人で広島市民球場で行ったライブに連れていく、というミッションをカミサマから言い渡される。

キャバクラでは、人のいい店長(寺島進)、優しいボーイ(松山ケンイチ)が、どたばたあれこれやっている。

この映画は、2人姉妹がどたばた、見習い天使2人がどたばた、店長とボーイがどたばた・・・って2人組のどたばた・・・の積み重ねのようです。

画面は急にキャバクラから、沖縄でツアーをやっている奥田民生のドキュメンタリーに飛ぶ、キャバクラでのバンドの練習・・・バンドのメンバー達も個性的。キャバクラのオーナー、VIP YOKOが良かったなぁ。出る度に「VIP YOKO」と字幕が出て、にらみをきかしている・・・女の子(キャバクラ)バンドの名前は「五次元カスタムズ」

白のマニュキュアにスカートはいてる天使見習い、加瀬亮も真面目な役とは大違いのとぼけぶり。細い足にスカートがよくお似合いよ。

ごろごろごろごろと話はもつれていき、天使達には試験である奥田民生のライブが始まる。相変らず突っ張りあってるマナモとみなも。

五次元カスタムズのライブは成功する?姉妹は無事、ライブに行ける?天使たちは無事天使になれる?

観ていて、だからなんなのよ・・・ということの連続といってしまっては身もフタもないけれど、この「どうでもいいことばかり」の世界がとても可愛らしいのですね。ぎくしゃくしながら、青春しているマナモ役の木村カエラがお人形さんのように可愛い。

それでも私かわいいでしょう~という雰囲気はなく、広島弁ばりばりで、ちょっとがさつな感じがいいです。

五次元カスタムズのライブもなかなか格好いいポップさがあります。そして奥田民生のライブの様子も後半にかけて出てきます。

1人でギターを弾いて、矢野顕子の「ラーメン食べたい」を熱唱したり・・・そんなあれこれがとても楽しい。

映画に意味を求めたり、記号や象徴を求めたり・・・・そういう見方もありですけれど、これは本当に明るくて、可愛くて、ちょっと変で、個性的で、そんな空気が楽しい映画です。

「ラーメン食べたい」の歌詞に「くたびれる毎日、話がしたいから」というのがありますけれど、正に、くたびれちゃった時に、何となく気張らしにおしゃべりしたいな・・・愚痴のひとつでも言いたいな・・・私としてはそういう映画なのでした。

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