スパングリッシュ 太陽の国から来たママのこと
Spanglish
2006年1月26日 銀座シネパトスにて
(2004年:アメリカ:131分:監督 ジェームス・L・ブルックス)
ジェームス・L・ブルックス監督の『恋愛小説家』は、とても大人の映画で好きなのですけれど、派手ではないけれど、人種や家族や恋愛というもののいざこざをてきぱきと、ユーモラスに描く、こういうアメリカ映画は大歓迎です。
アメリカならではの話であるし、その設定を本当に上手くつかった「いい映画」
メキシコでシングル・マザーだったフローラ(パズ・ヴェガ)は、娘の為にとアメリカに移住。
ロサンゼルスといっても、ヒスパニックの街に住みついて、メキシコと同じ生活をしていたけれど・・・当然、英語なんて喋る必要はなくアメリカにいても、何の問題もないけれど、よりよい収入を得る為に、裕福なレストランのオーナー・シェフ夫婦(アダム・サンドラーとティア・レオーニ)の家のハウスキーパーになります。初めてフローラは「外国」で働くのです。
しかし、フローラは英語を覚えようとしない。フローラは、シングル・マザーとして、父の役割もしなければならないと自分にも自分の娘にもとても厳しいし、意固地ともいえるプライドを持っています。
雇い主の主婦、デボラは、逆に見栄っ張りの自己中心的な女性で身勝手です。この身勝手ぶりっていうのがよかったですね。
ただの嫌な女でなく、説得力のある母としての自覚も十分あるけれど、どうしても自分勝手を押しつけてきて、周りに迷惑って所。
自分の娘は太っている・・・・だからわざと1サイズ小さい服をたくさん買ってきて、着られない・・・ことを思い知らして、ダイエットしろ!なんて事をして娘の気持ちはズタズタ・・・・それを見かねて、何かとフォローすることになるフローラ。
しかし、デボラは、フローラとその娘に対して、偏見は持たず、家族のように受け入れる事もできる。特に、娘が美人で頭が良い・・・と知ると自分の娘はほったらかしで、夢中になってかわいがってしまうのです。
反面、夫であるジョンは、やさしいけれど、そんな妻をしかることができず、諦めて、逆に母のように子供たちを守り、可愛がる。
子供たちも、なんだか頼りないけれど、母は怖くて、父はやさしい・・・ということを知っている。
そしてデボラの実母も一緒にいるけれども、昼からワインをがばかば飲んでいるアルコール依存・・・でもこの祖母が家族のクッションの役目をしている。
父性を貫こうとするフローラと、母性を大事にしようとするジョンと・・・あれれ?役割が逆です。
そんな所がまた面白いのでした。
3人の大人がそれぞれ意固地になっていること、許せない事、親としての自覚のぶつかりあい・・・なのに言葉は通じない。
親切なのか、干渉なのか・・・なんとも難しい境目を上手く描いています。
パズ・ヴェガ演じる若い母というのが、とても凛々しくていいです。子供についての問題を話し合うのに、英語の出来る娘に通訳してもらわなければならない事から、英語を習う決心をする、また、自分の娘を甘やかさずに可愛がり、怒るのではなく叱る。その違いがティア・レオーニ演じるデボラとの違いでその辺の対比のさせ方も、上手いです。
デボラのすすめで、娘をお金持ちのいい学校に転入・・・の時も「変な子・・と思われるかもしれないけれど、他の子と同じはもっと困る」という没個性になってしまうのを嫌がる性格とか、とても潔い。
また間に入ってしまう形になる夫のアダム・サンドラーもやさしいだけではダメなんだ・・・でも、本当にいい人なんだ・・・というのがよくわかるお人柄。なんとも「親」というのは難しい職業です。
あまり出てこないけれど、子供2人、特に姉のバーニーという太った女の子は、美人でもないし、頭もよくないし、勉強も苦手だけれども、とてもやさしい気性の持ち主でお父さんそっくりだ・・・というのもさりげなく描かれていていいです。このバーニー役の子は、この為に8キロ体重を増やしたらしいです。
出てくる役者さんがそれぞれ個性的にキラキラ光っていて、ほろ苦くも、可笑しい、大人のコミュニケーションのドラマになっているところがとても気に入りました。
音楽がハンス・ジマーだったことにちょっとびっくり。ハリウッド大作だけじゃないのですね。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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