ドイツ・アニメーション・フィルム
Animated Films from Germany
2006年1月25日 渋谷 シネマ・アンジェリカにて
(ドイツ:120分:監督 ギル・アルカベ他)
去年はドイツ友好年なのでした。
ドイツがらみのイベントなどがたくさん開催されていました。
これは最初、大阪のドイツ・フェスティバルでAプログラム、Bプログラムと分けて、展覧会の一環として上映されたらしいですが、シネマ・アンジェリカでは2時間で15本、一気に上映。
実はこの日は別の映画を観ようと渋谷に出たのですが、満席で入れず・・・予備知識なしで、時間の都合が丁度いいこの映画に入ってみた、というのが本当なのですが、偶然の出会いとはいえ、びっくりするほど楽しめるアニメーションでした。結果的には大変満足です。
子供の為のアニメではなく、大人のアニメ・・・というのはあまりテレビでは出てこないけれど、どの国も質の高いものを持っているものがあります。
平均すると約8分のアニメが15本なんですが、エドガー・アラン・ポーの『カラス』を大胆な白、黒、赤だけのアニメにしたもの、後でチェコのアニメ技法を取り入れたと知って納得した、ヤン・シュヴァンクマイエル風、ハリーハウゼン風、または、さらさらとしたペン画風などなど。
かわいい、笑えるアニメというより、毒があって、独創性と手作り感がたまらないアニメの数々。
どちらかというとスムーズさより、ごつごつ、とした手触りで、ミイラとりがミイラになってしまうような結末、悪夢が醒めないでそのまま放置されてしまったような戸惑い、ドイツならではと語れるほど私はドイツに詳しくないのですが、個性豊かで、映像の世界ならではのものが、こんな手法があるのか・・・という発見の喜び。
*『ルビコン川』の皮肉。
キャベツと羊と狼と人間が、一艘のボートでどうやって川を渡る?という哲学の問いのようなものの答え。
しゃ~しゃ~しゃ~とボートが画面を横切るたびに、どんどん「役割」が変わっていく・・・ペン画のようなシンプルさとキャラクターにしてもいいようなかわいらしい絵なのに、結構描いていることは皮肉に満ちています。
*『パッチワーク・クィーン』のコラージュの悪夢。
これは短いけれどとても感心してしまいました。コラージュをアニメにするっていうのはめずらしい。
しかも裁縫道具・・・糸車や糸バサミがまるで動物のように動きまわり、鋼鉄の心臓を縫い合わせる・・・色合いも赤と黒をベースにしていて、とても綺麗。
*『案内人HARARA』のグロテスクさ。
*『ゴースト・レイン』の不気味さ。
*『メッセージ』のアイディアの素晴らしさ。
このアニメを観た後、このアイディアとそっくり同じ事をしている携帯電話のテレビコマーシャルを見ました。
'He is back'・・・メッセージはこれだけなのに、文字が絵となり人々の耳を通りぬけ、空を駆けめぐる。一瞬、漢字(おそらく日本の女性の名前?)に文字が、ひゅるっと変わったりするのが楽しい。
*『サイクロプス』の恐ろしさ。
*『カラス』の柔軟性。
エドガー・アラン・ポーの『カラス』という短編を赤と白と黒の大胆な絵で表現します。色が線が柔軟に画面を動き回り、暴れ回る。
アニメーションならではの手法。力強さと透明感が一体になっている世界というのもめずらしい。
*『ROCKS』の地球の一生を8分で描いてしまう感性。
ヒューとキューという2つの石。石は氷河期から地球滅亡まで、ずっと見ている。周りが変わっていくのに全く不動のもの・・・石にいつも苔がにょろにょろ生えてくるのを、振り払う仕草はとても可愛らしいです。唯一3Dアニメを使っています。
*『楽園行き』の風刺と笑い。
パペットアニメなのですが、オチが笑えます。楽園に行く為に旅立つネズミたち。なんともはかない楽園。
*『ヘシー・ジェイムス』の細かさ。
*『モーメント』の大胆さ。
*『ESCAPE』の音楽とアートの一体感。
去年の東京国際映画祭で観た短編映画『この一瞬』とか、イタリアの『ネオ・ファンタジア』、『話の話』、ヤン・シュヴァンクマイエルの映画のあれこれ・・・なんかが、どっと体感できてしまうというお得な映画です。
日本でも、『緑玉紳士』や『トッポ・ジージョのボタン戦争』などちょっとダークな世界を持つアニメーションフィルムというのはあります。
一般公開はあまりされないけれど、特集上映や映画祭では短編アニメ集というのはあります。これからはアニメもチェック!
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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