タブロイド

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Cronicas

2006年1月16日 銀座ヤマハホールにて(試写会)

(2004年:メキシコ=エクアドル:98分:監督 セバスチャン・コルデロ)

これはエクアドルを舞台にした渋い、社会派の映画です。

キャッチコピーにIf it's on TV, it must be the truth.とあるのですが、エクアドルで起きる連続幼児虐殺事件。

犯人はなかなか捕まらない。テレビの話題=世間の話題は、犯人捜しです。

テレビの人気レポーター、マノロ(ジョン・レグイザモ)がその取材に行って出合った男・・・が、容疑者として逮捕される。

その逮捕に至るまでのスピード感と緊張感は凄いですね。あっという間に暴走する人々、容疑者として捕まってしまう男。

マノロはいつも女性プロデューサーとカメラマン、3人と一緒で、事件の現場の生の姿をカメラに納め、それがテレビで放映されて人気なのですが、その容疑者の男は冤罪を訴える。

さて、マノロと容疑者の駆け引きの始まり・・・ですが、映画のテンポはだんだん失速していき、渋い男の本音かどうかの疑いや、テレビで報道される=真実なのか?といった社会的な視線が強くなってきます。

エクアドルの風景はまだまだ貧しい人々であふれていて、そんな中、残酷でも「これが真実だ!」という報道番組に人々の心理は動かされる。しかし、マノロの中では迷いが出てきます。容疑者の男の話が本当なのか、嘘なのかとても微妙だからです。

でも、人々はテレビで見る「残酷な真実」を求めている。それに応えなければならないという葛藤。

渋い、真面目。出てくる人々も派手ではなく、とにかく報道の自由や報道の真実性の曖昧さなどを出してきます。

NHKが出資していて、プロデューサーはアルフォンソ・キュアロン。

『ニュースの天才』という映画を思い出しました。社会記事を捏造した青年の映画でしたが、この映画はテレビの報道番組の「どこまでが作り物か?」という線を描いています。

そしてテレビを盲信してしまっている人々の心理の怖さですね。テレビという媒体が人々に与えるものは、今、あまりにも大きくなってしまったことへの警鐘のようで、真実を伝えるということはどんな事なのか・・・地味ですけれども、とても真面目で社会派の映画です。

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