鴛鴦歌合戦

鴛鴦歌合戦

2006年2月23日 渋谷 ユーロスペースにて

(1939年:日本:69分:監督 マキノ正博)

1939年です。昭和14年ですよ・・・作られたのが。

それなのになんてポップで粋でハイカラで・・・かわいくて・・・しかも7日間で撮影されたという伝説のオペレッタです。

映画始まっていきなり歌が始まるのにはちょっとびっくりしました。ミュージカル映画といっても、唐突に歌というのはあまり知らないのですが、突然歌。

この映画は当然ながらモノクロなのですが、貧乏な傘浪人の話です。傘がずらりと並ぶのですが、その傘の柄が水玉とかストライプとか・・・これはフランス映画ですか?ってなセンスで、台詞で「水色の水玉ですな・・・」って言うのを聞いて、あ~~~カラーだったらまた、キレイだっただろうと思うのですが、モノクロならではの綺麗さというのがいいです。

それは、出てくる3人のお嬢さんの着物にも言えると思うのですが。

貧乏浪人の娘、商人の娘、武家の娘・・・それぞれ着物が違う、帯のしめ方、髪型、草履・・・違いますが、そこら辺の凝り方も素晴らしい。

また貧乏な傘浪人は志村喬なのですが、映画『生きる』で♪いのち~みぃじかぁ~し~こい~せよ、おとめ~♪とブランコに乗りながら、寂しげに歌うのではなく、♪あ、チョイト、チョイト、この茶碗~♪なんて軽やかに歌ってしまうのですよ。

娘が市川春代で、「もう、お父さんたら、キライ!」ってすぐ「キライッ」って背を向けるのが、いいですねぇ。私も一度、かわいく「もう、キライッ!」ってくるっと背をむけてみたい。(無理なんですけど)

若殿さまがディック・ミネで、のほほんとしたお殿様ぶりがいいし、隣の家の浪人が片岡千恵蔵で、「金持ちなんか嫌だ!」っていうひねくれぶりも可笑しい。

これは骨董品の話でもあって、傘浪人のお父さんは骨董好きで、お米を買うより怪しげな骨董品をどんどん買ってしまって、娘は、「もう、お米が食べたいわっ。麦こがしはもう嫌!」なんて台詞が伏線になっているのが、職人的に上手いのです。

鈴木清順監督が『オペレッタ狸御殿』を作って、現代の人にはちょっと受け入れがたかったらしいのですが、この映画を観てから文句言ってよねって感じです。全く歌わないような人が歌うという新機軸なわけですね。

オペレッタ映画の歴史というものを十分知った上での『オペレッタ狸御殿』なんですねって今更ながらに感心してしまいました。

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