RIZE ライズ

RIZE ライズ

RIZE

2006年2月23日 渋谷・シネマライズにて

(2005年:アメリカ:87分:監督 デヴィッド・ラシャペル)

ロサンジェルスのサウス・セントラル・・・というのは黒人社会。見事に白人が出てこないですね。そういう「隔離的」な生活形態っていうのは、ちょっと私には実感わきませんが、このドキュメンタリーが凄いのは、確かにそんな危険な日々を送っているようでも、クランプという激しいダンスで気持ちを昇華させている若者たちの姿を追う、その追い方。

監督は写真家だそうですけれど、ダンスの迫力を引きの絵できちんと見せたりしない。

カメラはどんどん踊っている人達に近づいて、中に入っていく。

その「入り方」が凄いと思ったのですね。だから画面は安定していなくて時にはぐらぐらします。

構成も、こうこうこういうメッセージで作りました、という安定感がなくて、どんどん撮ったのを、どんどんつなげて、どんどん見せる!というアンバランスさが見えます。強引といってもいいくらい。

確かに、犯罪や麻薬があふれている危険な街でも生活している人がいるわけで、特にクランプの創始者とも言える、トミー・ザ・クラウンという人は、クラウンというくらいだから、最初は誕生パーティなどへのピエロ出張サービスを仕事にしていく内に、そこにショーの部分を入れ、音楽やダンスを入れ、仲間を増やし・・・というちょっと意外な始まりなのです。

しかし、そのトミー・ザ・クラウンの仲間は大きくなれば、意見の違いも出てきて、対立も出てくる。

それを勝負するのが、バトル・ゾーンというダンス対決な訳。

もう、ダンスを楽しむというより、勝たなければ・・・・という熱い雰囲気になってしまう・・・そこもカメラはどんどん中に入っていく。

クランプダンスはただ激しいめちゃくちゃなダンスなのか、というときちんとバレエの基礎をもつ女の子が、その基礎を活かして度肝を抜く大胆なダンスをバトル・ゾーンで披露してみせる。その時の誇り高い表情がいいです。

最後の方に何故か棺屋が出てきて、なんだかわいわいする所が皮肉っぽくていいです。棺屋のじいさんが、なんとも飄々としていて、若者を見つめている感じがとても良い。

そして最後に1人だけ白人のクランプ・ダンサーが出てきます。この人は「僕たち白人は体が固く、あんな踊りは出来ない。でも踊りたいと思った。最初は周りはびっくりしたけれど・・・・」と踊ってみせる所がなんだか気持ちいいです。

かっこいいダンスを映す、ではなくてダンスという表現を本当に写真的なアプローチで映画にした所がとても興味深かったですね。

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