マゴニア
Magonia
2006年2月22日 DVD
(2001年:オランダ:112分:監督 イケネ・スミツ)
これはちょうど一年前くらいにレイトショーで、観たかったのに行けなかった映画です。
これどこの国の映画だろう・・・って思って観ていたのですが、オランダでした。
とはいえ、これは少年が週一回会う父親から、「マゴニア」という国のお話・・・ということで3つの物語が語られて、それはイスラム国風だったり、港町だったり、砂漠だったり・・・するので、これはオランダの映画ですっという色は全くありません。
父と子の風景はオランダ、イスラム国と砂漠の物語はグルジア、港町はフランス・・・でロケしているそうなので雰囲気というか映画の色が違います。台詞も少なくて、詩的な映像で語る部分が大きい。
しかし、映像はとても綺麗です。
父と子は海辺でいつも凧をあげる。その空の色の美しさ、雲の美しさ・・・・遠くに広がる海岸。父は船乗りで、息子にロープの縛り方をたくさん教える。そして物語はいつも、ロープは一本でも結び方は、無数にあるんだよ、というメッセージが込められています。
物語は、どれも切ない大人の恋愛の物語。物語はこれから始まるよ、という区切りもなく、これでお終いという区切りもない。
幻想的で、詩的な世界です。
どの話にも、誠実でやさしい青年というのが出てくるのですが、これは、父の姿なのか、息子の将来の姿なのか・・・そしてラストに全てがひとつにまとまるのですが、それがまた切ない。
とても映画的な手法をふんだんに用いていて、観ていてとても気持ちいいです。
特に一番最初のイスラム国風のお話は、やさしい気持ちでいっぱいになる美しい映像で、特に好きです。ちょっとセルゲイ・パラジャーノフを思い出しました。砂漠の話は『バクダット・カフェ』のようです。
これは映画館で観たかった一本です。それでも公開になってこうしてDVDで観られた事は幸せなことですね。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
0コメント