オリバー・ツイスト
Oliver Twist
2006年2月13日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて
(2005年:フランス=イギリス=チェコ:130分:監督 ロマン・ポランスキー)
予告編で、製作費80億円とか見てしまった私はてっきり「ハリウッド大作」だと思ってしまったのですね。
でもこれは、仏・英・チェコ映画でした。
莫大な製作費=ハリウッドって、あまりにも単純な自分、反省しなさい。
いや~こだわってますね。
どこにこだわってるかというと「貧乏」に凝ってますね。綺麗、綺麗な世界よりこれでもか、これでもか、と貧しさを作ることに金を使う・・・いいですね。ほとんどCGを使わず、街並みから、衣装から、何からなにまで作り上げている・・・その本物志向がいいです。
贅沢な映画です。
英国古典児童文学では、孤児という基本パターンがありますが、これはその創世記みたいなものです。
しかし、この映画、オリバー君、ひたすらかわいくて、逆境にめげず幸せになって良かったね・・・とうわっつらで終わらせてしまうには、もったいない映画です。このオリバー役のバーニー・クラーク君のガラス玉のような何を見ているのかわからないような瞳、青ざめた顔色、どちらかというと無表情な「固い」表情がよかったです。それは、子供の持っている一種の透明な瞳のようで、話がどうのこうの、というよりもその瞳の存在感を出した・・・そこがとても良いと思ったのです。
それから、子役達の役者根性みたいなものがいいです。
オリバー役のバーニー・クラーク君、主役はってますが、空腹や疲労で、ばたばた倒れますが、どた~ん、ばた~~んって見事に倒れる、その倒れ方が良かったですね。監督のこだわりがよくわかる部分だし、特撮ではない生のリアリティに感心します。
寝込んでぐんにゃり、しているところなんか役者ですねぇ。
最初はう~んとか思っていましたが、だんだん見入ってしまいました。
良い人、悪い人がはっきりしている中で、また、善人はいかにも善人顔、悪人は悪人顔と、別れているところ、ベン・キングズレーの微妙な役どころって、いいな、と思います。
フェイギンがいなければ、オリバー君の葛藤というのは薄くなってしまうのですね。オリバーを救うけれど、邪魔になり消そう、殺そうというあたりの迷い顔・・・なんとか引き延ばそうとする狡猾な表情とか、善と悪、聖と俗どちらも持ち合わせたようなキャラクターです。
チェコでロケした映画って最近多いですけれど、いいですね。今、昔の英国、ヨーロッパの風景ってのはチェコにある、と。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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