美しき野獣
Running Wild
2006年3月29日 新宿 シネマミラノにて
(2005年:韓国:125分:監督 キム・ソンス)
テレビドラマで人気の「涙の王子」ことクォン・サンウ=暴れんぼう刑事。
今や実力派俳優となったユ・ジテ=エリート検事。
この2人のガチンコ、バディフィルムであります。
やさしいイメージからがらりと変わって、クォン・サンウ、もう汚い格好の刑事で短気で、粗野。すぐ暴れます。大暴れ。
韓国映画を観るようになってから覚えてしまった言葉のひとつは、「チクショウ」(または端的に「クソッ」)は、「シバッ」なのですが、もうシバ連発であります。
動のクォン・サンウに静のユ・ジテっていうわかりやすい構図に思えるのですが、だんだん、この2人の逆のキャラクターが交差するようになるのですね。そこら辺が丁寧なんです。
この2人が立ち向かうのは最初はヤクザの撲滅なんですが、そのヤクザが狡猾でよろしいです。悪役はこのくらい狡猾で、狡賢くありたい。
金に物を言わせて、政治家として立候補してしまうのです。
「(ヤクザの)縄張りと選挙区と、どこが違うんだ?」というのは、日本も同じかもしれません。納得するなぁ。
なんとかそのヤクザのボスの尻尾をつかまえたくて2人は奔走するのですが、これが、なかなか、上手くいかないのです。むしろ、どんどん2人は悪い方へ落ちていく。それでも負けないぜ、めげないぜ、俺は走るぜ!その心意気や良し。
ユ・ジテは現場よりも頭脳で勝負するタイプ、クォン・サンウは、すぐ手が足が出てしまい現場走り回るタイプ。
でも2人が並ぶと、ユ・ジテの方が肩幅とかはるかに広くて、強そうです。クォン・サンウがなで肩に見えるくらいユ・ジテっていうのは、男らしい体格をしているんですね。足も長い、長い。でもユ・ジテっていうのはなによりもその「憂鬱な表情」というのがいいのですね。
王子様イメージを壊すかのようなクォン・サンウは、アクションもばりばりで、とにかく走り回りなかなかの熱演です。
ヤクザ、政治家、警察、検察庁・・・・とたくさんの人が出てきてかなり人間関係複雑なのですが、この主役の2人に常にスポットがあたっているという作り方は、スター映画なんだと思います。骨太ですけれど、立派なスター映画なのでした。
だから、テレビドラマのイメージでしかクォン・サンウを見られない人もいると思いますが、さじ加減上手いから「あら、こっちも素敵だわ」と思えるように男優さんを使っているという上手さあり。
私は、ヤクザのボスの人がとても存在感あって、良かったです。こういう人が映画を盛り立てるのですよ。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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