風のファイター

風のファイター

Fighter in the Wind

2006年3月24日 神保町 一ツ橋ホールにて(試写会)

(2004年:韓国:123分:監督 ヤン・ユノ)

この映画のヤン・ユノ監督って、過去、日本で公開された映画では、『ホワイト・バレンタイン』と『リベラ・メ』なんですね。

こりゃまた、違う世界を作り上げた・・・という感じがします。

極真空手の創始者、大山倍達(マス大山)の伝記映画ではありますけれど、同時にとても漫画のようであり、Vシネのようであり・・・といったつっこみ所満載を大真面目にやっている・・・という雰囲気の映画です。

私はなんとなく知っているのは、牛と対決した、とか・・・そういう伝説の人、というものなのですが、戦争中に日本にやってきて、辛酸をなめた後、修行、極真空手の創始者となる・・・こう書くと『力道山』と同じような筋書きなのですが、映画は大いに違います。

セットとか、衣装とか一生懸命凝っているのだけれど、どこかちぐはぐ。でも、大真面目。この人の事は『空手バカ一代』という漫画になっていたし、そこら辺は、正に昔よくあった大真面目で、破天荒なスポーツ漫画のノリで楽しいです。

そしてVシネマ度を高めているのは、日本人の武闘家、加藤役の加藤雅也ですね。もう加藤雅也が出てくるととたんにVシネじゃいっ、てムゥドが嫌が上でも高まってきます。

チェ・ペダルという若者は、日本で空軍に入れると思って日本に来るけれども、実際は、差別され虐げられることに。その時、ぶいぶい言ってる日本人将校が加藤です。いや、戦争終わって、将校がそのまま何もなく金持ち武闘家になれるのか・・・って所ですが。

また、後に妻となる芸者(平山あや)も綺麗な着物を着ていますが、朝から本振り袖の晴れ着を着ているのか・・・とか。

芸者というより金持ちのお嬢さんという描き方です。

しかし、修行といえば、山にこもる・・・そして無敵に近いほど強くなって周りをびっくりさせる。なんて、とんとん拍子に強くなっていくペダル。

ペダル役のヤン・ドングンさんは、本業は俳優よりもラッパーだそうですけれど、そんな感じは全く見せないひたすら誠実な寡黙な武闘家でした。

日本の戦後の闇市のセットなんかとてもよく出来ているのですね。「ボンタンアメ」の看板の様子なんか感動しますよ。

そして最後は、加藤とペダルの対決・・・となる訳です。ちゃんと牛のエピソードも入ってます。これで、ああ、わかった、この人だぁって思いました。

この映画の良さって本当に漫画っぽさにあるのですね。それもちょっと昔の根性もの。だから若い人は、アクションが楽しめると思うのですが、私になると、子供の頃、夢中になって読んではまっていた漫画の世界の再現、のようで嬉しい映画なのです。

伝記というより伝説ですね。

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