ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!

ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!

Wallace & Gromit:The Curse of the Were-Rabbit

2006年3月23日 シネカノン有楽町にて

(2005年:イギリス=アメリカ:85分:監督 ニック・パーク、スティーブ・ボックス)

このウォレスとグルミットのシリーズはビデオで何作か観ているのですが、映画館のスクリーンで観ると迫力です。

基本はクレイ(粘土)アニメなのですけれど、その質感が、実に良く出ているのでした。

ストップモーション・アニメ(一コマ、一コマ、人形を動かして写し、一秒間で24コマ・・・を続ける)という手間ひまを考えるだけでも気が遠くなるのですが、それをテンポよく、軽々を見せてくれるのに感心するしかありません。

また副題は、英語だと「巨大ウサギ男の呪い」という事で、往年のホラー映画の数々のパロディにもなっています。

また、粘土だけではなく、謎の巨大ウサギは、毛皮のぬいぐるみだったり、CGをさりげない所で使ったり・・・といった様々な手法を上手く融合させているのですね。

パロディといえば、緊急事態になるとウォレスとグルミットのお得意さんの額縁の絵の目が光る・・・というのはイギリステレビ番組のあの『サンダー・バード』のパロディ。

挿入歌には'Bright Eyes'という『ウォーターシップダウンのウサギたち』というアニメ映画の主題歌もさらり、と混ぜてみせます。

巨大野菜コンテストを目前にして、ブタ鼻のウサギたちに畑を荒らされて、ウサギ退治、といっても巨大バキュームで吸引するのです。

絶対に殺しては駄目、という事で、吸引されたウサギたちが、ひゅ~んひゅ~んって集まってくるシーンとかもの凄く細かいですよ。

それを、一コマ、一コマ、写しているという、その事に感動しますね。

話のテンポも面白く、人間のウォレスって、家事や仕事は全部、犬のグルミット(左利き)にやらせているのですが・・・・犬のグルミットは、喋らず、その表情や動きだけ、というのはサイレント映画へのオマージュ。

それでもグルミットの表情というのはとても豊かなんですね。特に、眉?を上げたときの表情なんか、いいです。

とても英国的で、小さな世界だけれども、大変大きなものを感じます。

パロディがわからなくても、十分その面白さ、というのは伝わってくるという作り手の頭の良さも光ります。

最後の最後に、「この映画では、動物は一切、傷つけられておりません」って出るのがまた、心憎い。

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