アブノーマル・ビューティ

アブノーマル・ビューティ

Ab-normal Beauty/死体写眞

2006年3月3日 渋谷 シアターイメージフォーラムにて

(2004年:香港:98分:監督 オキサイド・パン)

私は、オキサイド&ダニー・パン双子兄弟の映画が大好きです。

初めて観たのは『the EYE』だったのですけれど、そのなんとも言えない映像美学がとても気に入りました。

ホラーというジャンルは好きでも嫌いでもないのですが、映像に美学のないホラーは嫌いです。

被写体がどんなものであっても、それをどう美しく見せるか、それがわかってないものは駄目なのです。

ホラーほど、映像に美学を求められるジャンルはない、と思いもします。

だから、ホラーはキライと言って、すべてのホラーを拒絶する事はありません。

この映画は、原題が凄いなぁ、と思ったのですが、まさに、ある美大生が死体の写真を撮ってしまったことから最初は快楽、そして恐怖の扉が開いてしまうというホラーです。

主人公とその友人を演じるのはレース・ウォンと実姉のロザンヌ・ウォン。2人は2Rというユニットなのですね。

しかし、この映画でレースが演じるジンという優秀な美大生の眼がいいです。黒目と白目がくっきりしている美しい眼の映画といってもいいです。

それは写真というものを撮る人の眼であって、眼の力というのはとても大事です。

写真も絵も優秀なのだけれども、なにか足りない・・・と思っていたときに、出合った事故で映した写真。

周りが気持ち悪がっても、ジンは魅入られたように死の瞬間を写真で追います。

前半は死に魅入られたジンですが、後半から恐怖のどん底に落ちるようになるたたみかけが凄い。

まるで穴に落ちるように、恐怖の穴に落ちていくのが、スピーディでスタイリッシュなんです。

写真の現像は、赤い光の中で行いますが、そこに緑の光を入れる・・・ぱっぱっとフラッシュバックのように、映像が切り替わる。

そんなたたみかけ、の凄さに加えて、主人公たちがどうなるのか、というミステリー&ホラーの物語の速度も失速することはなく、むしろスピードが上がっていく。

そんな美しい映像が走っていくのに身を任せるような映画ってなかなかないです。

大体、お話はどうなるのか・・・といった事に重点が置かれる事が多いのですが、この映画は、まず、映像です。

それが、全くひとりよがりではない、という点がとても好きです。

パン兄弟の映画は一作ごとに映像が洗練されていきますね。

観ている間、気がつかなかったのは、ほとんどがタイでロケされていた、ということと、1シーンだけ、イーキン・チェン(鄭伊健)がカメオ出演しているという事です。う~ん、残念。

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