ククーシュカ ラップランドの妖精
Kukushka
2006年4月12日 渋谷 シネアミューズ・イーストにて
(2002年:ロシア:104分:監督 アレクサンドル・ロゴシュキン)
この映画の舞台となるのは、フィンランドの北部、ラップランドです。
まず、フィンランド人の若い兵士が、岩場に鎖で足をつながれて、「置き去りの刑」にされる。しかもご丁寧にナチス・ドイツ兵の服を着せられて。
フィンランド人とかドイツ人というのは、喋らないと人種がわからないのですね。
そして、あるロシア軍の大尉が、裏切りによって囚人となって通りかかった所に爆弾。
フィンランド人の兵士の鎖から逃れる方法というのを実に細かく最初描写しています。ここでこの青年はとても手先が器用ということがわかるのです。
さて、爆弾で傷ついたロシア軍大尉を、ラップランド人の未亡人、アンニが助ける。そこへ、やっと鎖がとれたフィンランド人の兵士が助けを求めに来る。
ここで、ロシア語、フィンランド語、ラップランドのサーミ語しか出来ないそれぞれの難しいコミュニケーションが始まります。
ロシア大尉は軍服だけで、ナチス!!!!と言うけれど、フィンランド人兵士は学生で、もう戦いはイヤだと言いますが、その間に立つアンニが堂々としていて、空気が気まずくなっても、「はい、働いて!」でお終い、というのが微笑ましい。
結局、3人は最後までお互いの言葉を覚えようとしない。それでもなんとかなってしまうのですね。
このアンニが言うには「夫がいなくなって4年、男なしできたけれど、いきなり2人の男を神様がよこしてくれた~」と、男に興味津々です。
どっちがいい男かなぁ~~~なんて、目をきょろきょろさせるあたり・・・・言葉でなくても若いフィンランド人の男を選んだ時、中年のロシア大尉は「・・・負けた・・・」
しかし、ラップランドの地で1人で生活する知恵の数々、また、怪我して死にそうになった男を「魂よ、犬の鳴き声がしたら戻ってきなさい」という太鼓を叩きながらの儀式なんて、とっても原始的な巫女です。
副題は妖精ですけれど、どちらかというと原始的な欲求や、習わし、儀式、生活を保ち続けているというこのアンニの原始性がとてもいいのですね。しかし、外では隣り合ったロシアとフィンランドが戦争をしている。でもアンニの生活はラップランドの歴史のままに暮らしている。
ラストなんか、あまり西洋の倫理観なんか、全く無視した、これまた自然まかせのおおらかさです。
全体を通して、晴れる日のあまりない曇りがちのグレーの色彩がとても綺麗。
ただ、字幕だけだと、3つの言語の違いってあまりピンとこなくて、仕方ないのですけれど、せめてドイツ語くらいやっておけば良かった・・・と思いました。ヨーロッパの戦争がらみの映画の時っていつもヨーロッパ言語を習わなかった事を後悔するんですね。
更夜飯店
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