ディバージェンス 運命の交差点
Divergence(三岔口)
2006年5月23日 シネアート六本木にて
(2005年:香港:101分:監督 ベニー・チャン)
アクション映画が多いベニー・チャン監督だし、アーロン・クォック、イーキン・チェン、ダニエル・ウーの共演ときたもんだ・・・なんて、娯楽性を期待してみるとあらま、ってなりますが、よく言えば渋いって事になりますね。
ダニエル・ウーは若手でもイーキンとアーロンは、もう40歳近いはず。昔のようにバリバリ、華々しいアクションや荒唐無稽なアクションよりも、渋い方向で行きました・・・です。
一匹狼的な刑事、というのはよくある設定ですが、アーロン・クォックは10年前に失踪した愛妻(アンジェリカ・リー)が忘れられず、いまだ、ぐずぐずしている・・・というのが結構えんえんと出てくるのですね。
そして、ある事件とつながりを持つようになった弁護士、イーキン・チェンの妻が、自分の愛妻そっくりだ、ということにびっくりするアーロン。
なんだかイーキンもアーロンもアンジェリカ・リーという1人の女性に骨抜き・・・ってだけだったらつまらないのですが、ここで、カンフル剤の役目を果たしているのが、謎の殺し屋、ダニエル・ウー。
ダニエル・ウー、モデル出身の割には悪役や汚れ役をよくやってそれがまた、いいものだから、今回もその軽やかな?神出鬼没ぶりっていうのがいいです。
同じ殺し屋でも『ワンナイト・イン・モンコック』は、大陸からやってきた、寡黙でメガネをかけた殺し屋というキャラクターの違いがありますが、どちらも良し!
この3人が巴戦みたいに戦うのではなく、結構描き方はバラバラです。最後に無理矢理とってつけた感じのする話の結末のつけ方だし。
良かったのは、自分が連行してきた容疑者をダニエル・ウーに目の前で殺されてしまったアーロンが市場を駆け抜けて、ダニエルを追いかける「駆けっこチェイス」
もう、走り方に年齢ってあるのね、、、って思いますがアーロンも走ります。でも走りながら余裕の表情のダニエルに若さを見ちゃいました。
でも、このチェイス、アクション・・・見所でもありますが、真面目なだけでなくちょっとぷぷって笑えるような所があって良かったですね。
ビニール袋食い破るダニエルに笑ってしまった・・・。(これは観た人だけわかってください。あまり詳しく書いては無粋になるので)
それでも熱血青年から熱血中年になったアーロンもとても渋くなりました。
「お前、風呂入っているのか?臭うぞ」なんて言われるような状況でも、清潔感あって熱血でも汗くさくないアーロンならではの良さ。
イーキン・チェンも、今までと違ういつもスーツに銀縁メガネをかけた理性派弁護士。理性派と書くと格好いいけれど、実際は、たとえ有罪とわかっている人でも仕事だから、弁護で無罪に持っていくことの方が多いというインテリ汚れ役でした。
この映画の原題から、3人の武闘家が戦いあうという中国の京劇をベースにしているという事ですから、3人のガチンコ勝負って観てみたかったですね。ダニエル・ウーの飄々としたワルの浮遊感が、2人に同時にからんでいたら、渋い映画ではなく華々しい犯罪ものになっていたかも・・・ですが、これはこれでいいのかもしれないですね。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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