ダンサーの純情
Innocent Steps
2006年5月23日 シネアート六本木にて
(2005年:韓国:111分:監督 パク・フンヨン)
最近、テレビで、社交ダンスの素人が社交ダンスに挑戦という企画ものがあって、つい見てしまう私。
ダンスだけでなく、見た目美しいものの裏には、努力がある、というのがテレビだと臆面もなく出されてしまって、私としては、美しいものは美しいものときちんと見られればいいから、涙を流したり、努力のドキュメンタリー風景はいらない、と思うのですが。
まぁ、見たがる人が多いのでしょうね。
映画『シャル・ウィ・ダンス』は、そこを上手くついて、ストーリーにして成功した映画。
では、この『ダンサーの純情』も同じような、二番煎じの映画ですか?というとそういう印象は持たなかったのです。
人気が妬まれて、足に怪我をしてしまい、落ちぶれたプロ・ダンサー、パク・コニョンに、なんだかあやしい男から、中国から女性ダンサーを呼んだから、偽装結婚してコンビを組めばいい・・・と持ちかけられる。
しかし、やってきたのはダンスは何も出来ない女の子、ムン・グニョンちゃんでした・・・という所からして、いきなり中国からの移民問題、偽装結婚ですか?って違いを感じてしまいました。
たどたどしい韓国語しか話せないムン・グニョンちゃんは、涙の王女様です。泣き演技はこの人は凄い。この人の泣き方、一番好き。
リアルなんだけど、綺麗にみせて、本当の涙と違うけれど、ぼろぼろ泣く様子が実に映画的、なんて私はムン・グニョンちゃんのファンか。はい、そうです。
着ている洋服からして、白いソックスかよ・・・なムン・グニョンちゃんですが、ここは映画、あっという間にダンスが上達して、大会に出るようになるのですが・・・ここから意外な展開になりましたね。
いつも犯罪の臭い、うしろめたい臭いがするのです。ただただひたすら、純情で可愛いだけでなく、ちょっとボロだしたら犯罪だよ、という緊張感を常に描いているのですね。そこが良かったです。
パク・コニョンさんという人は、韓国のミュージカル界から抜擢された配役なのでダンスはさすがなのですが、ムン・グニョンちゃんもそれはそれは上手くなります。表情がよくなってくるのです。もちろん、苦労も描かれるけれど、この映画の描きたい所は、ダンスの苦労ではないので、あっという間の上達で正解だったのだと思います。
社交ダンスと移民問題をくっつけた・・・というベタな恋愛シーンもありますけれど、ベタはベタでも、根性感じる所が満載で、中途半端さがないところとても気に入っています。だらだらしないで、サクサクてきぱきしている映画。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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