13歳の夏に僕は生まれた

13歳の夏に僕は生まれた

Once You've Born

2006年5月18日 神保町 一ツ橋ホールにて(試写会)

(2005年:イタリア:120分:監督 マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ)

今月、観る映画は、移民、元移民、先祖が移民・・・といった移民問題を軸にした映画が多いのですが、これはそれに決定打を打つような映画。

13歳のサンドロは、お金持ちのおぼっちゃま。なんせ夏は父と一緒にギリシャに行って地中海のヨットクルージングなんて行ってしまうのです。

しかし誤って海に落ちてしまったサンドロを助けたのは、アフリカ、ヨーロッパ各国からの不法移民を満載した移民船。

そこで出合ったのが、美しいルーマニアからの移民の兄、妹。

法律では未成年は祖国に強制送還されない、ということがあるのですが、サンドロと同じ年の妹はいいとしても、兄が微妙な年齢なんです。

17歳か、18歳か・・・で人生が決まってしまうというシビアさ。

それの決めてが、手のレントゲンで判断するっていうのは初めて知りました。

今の日本は、移民問題がそう大きく取り上げられない。だからあまりピンとこない題材かもしれません。

13歳のおぼっちゃまが見た現実は非常にシビアなもので、「子供の友情」なんて通じない。また、サンドロは両親に頼んで、兄と妹を養子にしてくれと頼むし、恩を感じている両親も色々と手を打とうとするけれども、やはりシビアな現実が・・・。

まだまだ、世間を知らない子供だからこそ、移民に対する知識や経験がなくて、純粋に友情を通そう、というわかりやすい展開を思わせておいて、監督は厳しい現実を見せる。私は子供ではないけれど、移民問題を身近に感じた事がないからサンドロと同じ心持になるのを、監督は時にドキュメンタリータッチ、時に美しく、時に残酷に・・・教えてくれる。

ラスト、会話が出来なくて、コンポのボリュームの音量を上げたり、下げたり・・・しか出来ないサンドロと妹の姿がとても綺麗で、悲しくて、印象的。厳しい現実を描いても、描き方が問題なのであって、このシーンはとても好きですね。

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