LIMIT OF LOVE 海猿
2006年6月18日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて
(2005年:日本:117分:監督 羽生英一郎)
私はテレビドラマを今、観ないので、映画の前作とこの映画の間にあったテレビドラマは未見です。
映画だけで言うと前作は海上保安庁の潜水士になるための訓練を通しての青春もの。
そしてこの映画はずばりサバイバルものです。
海上保安員になった仙崎大輔(伊藤英明)は、恋人、環菜(加藤あい)と結婚を目前としています。
しかし、はりきる環菜に比べて、仙崎の方はなんとなく乗り気ではない。
映画前作で、出合った2人ですから、テレビドラマはこの2人の恋愛模様だったのだろう、と想像。
しかし、大型フェリー、くろーばー号が砂利運搬船と衝突して座礁した・・・・という事件発生。
ここからの、困難のたたみかけ・・・が見所です。
湾内で座礁したので、救助は簡単に思えたのですが・・・・フェリーにはたくさんの車が積んである事から火災発生、沈没まで4時間。
そこに取り残されてしまった仙崎、吉岡の海上保安員と、脱出しそこねてしまった乗客2人。女性の大塚寧々は妊婦、男性の吹越満は、足に大怪我というハンデまで。
どうする?仙崎!!!っていう場面がもう、次々次々現れて、活路を見出したかと思うとまた壁のテンポがもう’熱い’
そう、熱いテンポなんです。最近の日本の映画にはめずらしい熱いテンポ。
観ている側ははらはらドキドキしてしまう。
また、陸上では時任三郎、津田寛治、光石研などが、必死に援助のサポートをしようと奔走する。
『アポロ13』みたいです。
もう、だめだ、もう、だめだ・・・・という状況でも仙崎は、あきらめない。そんな救助隊を信用しなかったり、八つ当たりしたりする吹越満の小者ぶりが良く、また、大塚寧々の不安と落ち着き両方持ち合わせた強さも光ります。
仙崎と吉岡は、2人を安心させる為に、大丈夫じゃなくても、大丈夫だ、と嘘をつく。そんな嘘が、とてもつらいし、信用していない小者、吹越満はそんな嘘を逆になじる。
自分達は、もうダメかもしれない状況の中でなじられる、しかしそれには反論しない、してはいけない仙崎と吉岡の任務の重さ。
自分勝手の逆を行く姿を、ここまでストレートに出しながらも、暑苦しくなく、押しつけがましくなく、理屈よりも行動で脱出を図るスリリングさは大変なもの。
最後の方にやっと煙突を登って、外に出られる・・・・と思ったとたん、上から水がだぁぁぁ~~~~っと落ちてくる時なんか観てる私が、ひぃ~~~と椅子に沈んでしまう迫力あり。
妊婦と怪我人を抱えて、ハシゴを登らなければならない・・・そんなとき、仙崎が「さぁ、頑張りましょう」と言います。
普段、私は安直に、頑張れ、頑張れってはっぱかけたり、挨拶のように頑張ります、って言うのは好きではないのですが、このシーンのこの状況では、他になんと言えばいいのか。もう、「頑張る=死力を尽す!」という状況で、この頑張れは、聞いていてほっとする一言なのでした。救助というのは、もちろん生命の安全を図る事なのですが、その前に安心をさせなければならないのですね。ここ、意外と盲点かもしれません。
地上で見つめるのが恋人の環菜の加藤あいさんは、可愛いのですが・・・う~ん、恋愛のシーンになるとちょっと恥ずかしい部分あり。
また、恋人が目の前で死ぬかもしれない絶望の表情があまりはっきりしていなくて、驚く時は目を見開くだけ、泣く時も声だけ、うぇ~ん、って声出すだけ・・・ちょっと綺麗なお人形さんのようなのが・・・。可愛いだけでは役者はダメだなぁ。他の役者さんが皆、上手かっただけに加藤あいさんだけ、ちょっと浮いて見えました。こういうサバイバルものには恋愛って絶対に必要なのかなぁ、とふと、思ったりして。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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