ドラゴン・プロジェクト

ドラゴン・プロジェクト

House of Fury/精武家庭

2006年6月14日 シネマート六本木にて

(2005年:香港:102分:監督 スティーブン・フォン)

ジャッキー・チェンが製作総指揮して、香港映画界のベテランスタッフや俳優を集めて、若手の俳優であるスティーブン・フォンに監督、脚本、主演をさせたジャッキー若手育成映画。

スティーブン・フォンの監督は、これが2作目なんですね。

武術指導にユエン・ウーピン、俳優にアンソニー・ウォン、TWINS、ダニエル・ウー、悪役にマイケル・ウォン・・・と、さすがジャッキーが声かけると・・・人が集まるんだなぁ。しかも、本格カンフー・アクション・コメディという、香港映画伝統の路線をきちんとした映画にしているというのが、まず、香港ならでは・・・という感じです。

若い人に映画を撮らせるプロデューサーはいるのですが、大体は低予算。そんなリスキーな事はしないのしょう。

ところが、ジャッキー、自信があります。ただ、その自信の正しい使い方だと思うのですね。

ジャッキーが、やはり年をとってきて、昔のように1人看板を背負ったアクションは実際問題難しい・・・となると、若いスターとなりそうな人を集めて映画製作に乗り出しました。私が、へぇ~と思ったのは『ジェネックス・コップ』です。

3人の若い警官達のアクション映画でしたが、この3人、ニコラス・ツェー、サム・リー、スティーブン・フォン。そして悪役にダニエル・ウー。

3人の中で一番華があった実質主役は、ニコラスで一番影薄かったのはスティーブン・フォン。

しかし、監督、脚本、主演という大役を、バックアップもあると思うけれど、作り上げる事が出来たのはまだまだ若いスティーブン・フォンだというのが驚きです。

派手な対決だけでなく、ニッキー(スティーブン・フォン)の兄とナタリー(ジリアン・チョン)の妹が、あんまり仲良くなくて、テレビのリモコンの取り合いもカンフーになったり、食事中の食卓の下での兄妹の足の喧嘩=カンフーみたいな、ちまちまとしたお遊び的なシーンもきちんとしていますね。

映画は、まず、整体師の父、アンソニー・ウォンが、実は情報部員だった・・・・整体院の壁のボタンを押すと扉がウィ~ン。

秘密基地みたいな所から颯爽と出陣して、バリバリと忍者を倒しまくるシーンは、ここのアクションからして手を抜いていません。言葉で言わなくても、バリバリとしている父です。

所がそれは、娘の高校に迎えにいって、高校生達に喋って自慢しているお父さんの与太話。

ナタリーは、そんな誇大妄想をばらまくお父さんが、ちょっと疎ましい。

水族館で、イルカの調教師(って所がいいですね)をしている兄もなんだかお父さんのホラ話や笑い話には白けてばかり。

しょぼん、としてしまうお父さんが、ちょっと可哀想・・・・

ナタリーのボーイフレンドが、ダニエル・ウー。ダニエル・ウーは妙にアイビーな服装で、サヤワカ青年。

殺し屋とか、悪役とか・・・意外とクセのある役が多いダニエル・ウーが、夕食に招かれて、チューリップの花束と子豚を(臆面もなく)プレゼント。はぁ~~~~。私なんか、おお、いいなぁと思うのですが、兄、ニッキーは、けぇ~~~ってな顔して、ナタリーはむぅぅぅぅ~~~。

そこで、食事中の足喧嘩になるわけです。

所が、お父さんの所に謎の人物達が押し入り、お父さんを誘拐してしまった。ロッコという男の差し金なのですが、そこで、初めて、兄妹は本当に父は情報部員で、秘密を握っている・・・ダニエルも加勢してお父さんを救え!

ここからのアクションは、本当にスピーディで、壁を乗り越えたら、また敵、敵を倒したら、お父さん、絶体絶命みたいなテンポが早い、早い。

技も兄は棒術、妹は太極拳ときちんとわけている所がいいです。

ただ、生真面目なシーンばかりかというとちゃんと息抜きできるようなシーンもあって、私は、アクションするものの、足をくじいてしまうダニエル・ウーが・・・・。だって、香港カンフー、ワイヤーアクションでは、まず重力は無視、そして骨折や怪我は原則無視なんですが、ぼき、と正直に足をくじいた・・・・ってよろけるダニエルったら、逆にありえないのです。

兄妹と対決する相手のアクションの凄さも見所。やはり、見せるということをわかっているからこそ、成り立つ世界なんですね。

さて、秘密とはなにか、ロッコが本当に狙う人物とは誰か・・・・そんな展開も早い。

娯楽要素はバッチリ。やっぱり香港でスターになるには、しっかりと体の芯がぶれないきちんとしたアクションが出来ないとね。

女の子だって可愛いだけでは、香港の場合はちょっと・・・というハードルの高さも感じられます。

ハードルの高い、レベルの高い娯楽ってどういうことか・・・って事を思いましたね。

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