サージェント・ペッパー ぼくの友だち
Sergeant Pepper
2006年6月7日 渋谷 アミューズCQNにて
(2004年:ドイツ:98分:監督 サンドラ・ネットルベック)
こういう映画を実写で撮る・・・・今の日本や、アメリカ・ハリウッドだったら、そんな事はしないと思うのです。
もっと大冒険やら、面白可笑しいキャラクターをCG凝ってのてんこもりアニメの世界になると思います。
ところが、ドイツのこの映画は、堂々と実写でやってる・・・だからとてもちまちましていても、暖かみを感じる世界にもなっています。
でも、ほんわか・・・ばかりでないのがなんとなくいいのですね。オランダの映画『猫のミヌース』もそうでした。
主人公のフェリックスという6歳の少年は、「人間になりたくない」
だから、ともだちもいないし、誕生パーティをやろうと両親が計画を立てても、呼びたい人リストにはぬいぐるみと亀しかいない。
フェリックス君というのが、金髪のかわいい子供ではあるのですが、とにかく頑固。人間になりたくないあまり、トラの着ぐるみしか着ない。
すっぽりと潜水夫のような姿でしか、いられない、と意地をはるとても頑固で偏屈な子供。
かわいいだけの子供ではなくて、子供にも主張があるんだ、意地を通すんだ!というのが最初から最後まで貫かれているのです。
だから、大人から見た無垢なかわいい子供ではなくて、自分の意地と主張を通す子供の映画なんです。だからちょっとゴツゴツしているような・・・大人の理想の甘い子供映画ではないのですね。
普通の家庭だったら、困った、困った・・・・になってしまうところ、お母さんは音楽家、お父さんはなんと発明家。
家は仕掛けだらけで、声で「開け」というと開く冷蔵庫のドアとか・・・・お父さんは「自分だって子供の頃は友だちがいなかった、想像力が豊かなだけだ」と寛容。そんな環境だからフェリックスは、まだ「かわいい」でいられる。
そんなとき、ある大富豪が、愛犬、サージェント・ペッパーに莫大な遺産を残して亡くなる。遺産を横取りされたがめつい長女と間抜けな弟は、即、サージェント・ペッパーを殺害する計画。
でも、それもオマヌケなんですね。毒殺しようとする薬のビンは、思いっきりドクロマーク。
車で拉致して埋めてしまおうとしても、穴を掘っている間に、ゆうゆうとサージェント・ペッパー、逃亡。とほほ。
そして、フェリックスとサージェント・ペッパーが出合うわけです。
意気投合した2人にしのびよる悪者大人2人組の影。おねえちゃんも加わって、サージェント・ペッパーを救え!の顛末。
おねえちゃんは、フェリックスと違って学校生活をエンジョイして、水泳やフェンシングなど活動的。
最初は、弟に冷たいおねえちゃんも、サージェント・ペッパーの声(子供にしか聞こえない)を聞いて、救出作戦に参加。
まぁ、寛容と言っても、お母さんは、精神科医にフェリックスを連れて行く。そこでも頑固で、大人に対して心を開かないフェリックス。
下手すれば自閉症児です。
6歳になったから、小学校へ行かなければ・・・でもやっぱり、友だち関係を築けないフェリックスの唯一の友だちは、サージェント・ペッパーだけです。
サージェント・ペッパーをめぐるあれこれ・・・・もう、微笑ましいって世界なんですが、オマヌケの弟がちょっとホモっぽくて、着ているブラウスが大きな花柄だったり、長女の研究所(なんの研究所だ?)から脱出する時は、「これ映画で見た~~~シガニー・ウィーバー!!!!」って映画そのまんまやってしまったり。
大冒険というより、中冒険くらいなんですが、そこが手作りの映像って感じでいいですね。犬も名演技。でもわざとらしくないです。アニマトロニクスとか、CGは使わない。
愉快な家族の愉快な話、というより、ちょっと変わった人たちのあっちいったり、こっちいったり・・・が楽しい映画。
最後の最後に、「やっぱり、先生にはサージェント・ペッパーの声、聞こえないんだね」ってトラの着ぐるみきたフェリックスがあきらめたように言う所がちょこざいな、この小僧~って笑ってしまった場面。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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