リセット
Reset
2006年6月2日 DVD
(2001年:日本:77分:監督 鈴木浩介)
この映画は、「自殺の名所と言われているビルの屋上の一室に5人の男女がたまたま集まってしまった」という設定のみで、あとは役者さんのアドリブで、12台のカメラで一気撮りしてしまった、もう実験映画です。
でもこの企画、脚本がない、という事ですが、役者さんは、その器量を試されているような緊張感がありました。また、話の展開も先が読めなくて(って撮っている人がわかっていない)というのも、緊張感ありました。
男女5人。根岸季衣、遠藤憲一、光石研、伊藤洋二郎、片岡礼子。
それぞれが、最初はぎこちなく言葉を交わしているうちに、だんだん「自分が一番不幸だ。あなたは死ぬことない!」といった止めあいになってしまう。
やたらべらべら喋る遠藤憲一、喪服を着て、お菓子を食べてオロオロする根岸季衣、興奮状態で他人につっかかる伊藤洋二郎、寡黙な光石研、もう1人、寡黙な片岡礼子。
さて、何故死ぬのか・・・という理由は本人には、重大な事だけれども、他人の事となるとそんな痛みなんかわからない、あんたなんか死ぬ権利ない!といった人間の傲慢さが、だんだん浮き彫りになっていきます。
一番若い片岡礼子は、寡黙で、理由らしい理由を口にしませんが、べらべらと口を出す遠藤憲一に、ぐさっと「アンタ、何様?どちら様?」と言葉を投げつけるのがとても印象的。
「あんた、何様?」こういう怒りは今、どこにでもあります。口に出せたらどんなにいいだろう、と思う事を、いきなり突然言うのです。
こういう怒りを常に持っているような人は、ストレスにさらされてばかりだろうと思います。
ハプニングをつないだようなものかもしれませんが、ラストは妙な開放感が感じられる所がいいです。
それぞれの役者さんも、それぞれが演技を越えた何かを全面に出して、それがぶつかりあっている。演技指導の元で演技していくのと違って、演技する自分を演出し続けなければならない。実力がないと出来ない「演技」だと思います。
この映画は、同様企画で『リセット2 足軽』があるのですが、津田寛治、森下能幸、田中要次の3人だといいます。
DVDになっていないので観られないのが残念。
更夜飯店
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