花田少年史 幽霊と秘密のトンネル

花田少年史 幽霊と秘密のトンネル

2006年7月29日 有楽町 よみうりホールにて(試写会)

(2006年:日本:123分:監督 水田伸生)

 最近多い、原作人気漫画、人気アニメにもなったものの映画化。

原作漫画というのは、荒唐無稽なものが多いのですが、この映画は、ぶわっはっはっ・・・と笑える奇妙さが、いいです。

少年、花田一路は事故により、幽霊が見えるようになる・・・という顛末なのですが、それに至るまでの、家族との奇妙な間とタイミングのいい台詞のやりとりが面白い。

 母と喧嘩して、家にいる三毛猫をつかまえて「この猫がどうなってもいいのか!」とわめく一路。それに負けずに、なにいってんだよ、おまえ!とわめく母が篠原涼子。

犬を飼えば、即、眉毛を描く一路。

そんな悪ガキ、一路に見える幽霊たち。女子高生の姿をした香取聖子(蚊取り線香)、何故か一路の父だと名乗る背広の男、死んでしまった近所のおばあさん。

 その幽霊の出方がかなり唐突で、色々とアイディアを考えているのがいいです。

私は、奇妙な男の幽霊が北村一輝、というのが妙に気に入ってしまいました。

北村一輝のちょっと人間離れした所が、よく活かされているのです。神出鬼没の男(幽霊)ですが、一番良かったのは突然、便所(トイレというより家の外に出なければならい便所)の天井の梁にはさまってる北村一輝。

これは絵になりますね、いい絵だ、実にいい絵です。北村一輝ファンとしては、是非額に入れて飾っておきたい一枚の絵。

原作漫画ならではなのでしょうが、何も知らずに映画をいきなりみるとこの幽霊たちの出方というのがかなり、ドッキリ、ビックリの連続で楽しいのです。

 映画は、家族のちょっといい話でほろりとさせますけれど、全編を貫くけろり、とした雰囲気がいいです。

深刻になりそうな所でも、深みにはまらず、きゅるっと画面を展開させてみせる。しんみり、ほろり、としたところに、ぶはっと笑う・・・そんな強弱のつけ方とても好きです。

一路の友人たちの話もいいですし、運動会のシーンは何故か昔なつかしの雰囲気なのです。

そんな所も良かったですね。

 母を演じた篠原涼子のサバサバした雰囲気と父の西村雅彦の情けないのかちょっとよくわからないいいひとぶり。

一路を演じた須賀健太くんの荒っぽい自転車のこぎ方がいいです。

夏休みに家族で観るにはとてもいい映画だし、どんな年代の人もそれぞれ楽しめる部分があると思います。

特撮もあまり変に凝らずに、さらっと綺麗に流してみせる所も、疲れません。

 人気原作ものにつきものの、暗い情熱を燃やす原作マニアは、もう何度も書いていますけれど、誰がどう映画にしても文句しか出ないから観ない方がよろしいかと思います。

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