ゴーヤちゃんぷるー

ゴーヤちゃんぷるー

2006年7月13日 恵比寿 東京都写真美術館ホールにて

(2005年:日本:101分:監督 松島 哲也)

 ここ数年、というか『ナビィの恋』あたりから、盛んになってきた沖縄映画。

沖縄というのは、日本であっても日本じゃない、というイメージが私はあるのです。

何故なら、私が小学生の頃は沖縄はアメリカ領で・・・・パスポートが必要だったのですよ。沖縄返還の時の騒ぎは凄かったですよ・・・って年がばれますが、私からするとやはり沖縄というのは、日本であっても、非日本のような不思議を感じるのですね。

戦争の悲劇があったりしたので、年代によっては沖縄はちょっと・・・という人もいます。

 しかし、今はもう沖縄は大人気。

映画にもどんどん沖縄が出てきます。

この映画は、ストレートに沖縄に行って変わるひとりの女の子の自分探しの旅です。

 自分探しの旅というのはよく映画になるのですが、結構、使われすぎて曖昧になってしまった感じがあります。

主人公のいじめにあってひきこもりになってしまった女子高生を多部未華子が演じています。

『HINOKIO』が映画デビューだったのですが、この時から普通のかわいい、アイドル的な女の子とは一線を画した存在感がありました。

ちょっとボーイッシュで、ショートカットが似合って、不思議な魅力を持っています。

 そしてこの役は、自分を捨てて出ていってしまった母に会う為に、西表島に向かうという・・・そこでのあれこれが、頑なだった少女の心を開く・・・それが沖縄の空気なのさぁ~(沖縄イントネーションで読んでください)という映画。

う~ん。ストレート。ひねりがありませんが、それがすんなり観られるのは多部未華子の頑なな表情がとても表情豊かだから。

若いですけれど、演技が上手いのです。映画の台詞にも出てきますが、走る姿が格好いい。「かっこよかったわよ、カモシカみたいで」

 沖縄に住む人が皆、いいひとばかりではない、というのは、ネットで知り合ったメル友、ケンムンとのいきさつでも少しわかります。

ケンムンの言葉もあって、西表島に行くのです。

この、ネットでのケンムンの言葉というのが、ムーミンに出てくるスナフキンがいいそうな事、言うのです。ちょっとかっこいいこと言うのだ。

しかし、現実、会ってみると・・・・ネットでの言葉が画面に字幕ででてくる・・・というのは岩井俊二監督の『リリィ・シュシュのすべて』が独特の使い方をして強烈な印象を残しますが、言葉をかわすよりも、ネットでのやりとりの方が本音が言える、でも、どこまでが本当?という現代の病んだ部分というのもさらりと見せていますね。

 この映画では、主人公は、自分探しにある一つの決着をつけますが、これからどうするの?という問いに、明るく、「まだ、わからない」とハッキリ言える所に、若いなぁ~って虚を突かれました。

 自分探しは誰でもするもので、はっきりした答えが出ないまま、それが、いつの間にか、自分試しになっていくんですね。

その自分試しの前段階で、きちんと映画が終わっているのがすがすがしい。こういう幕切れは潔くて好きです。 

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