BLACK NIGHT ブラック・ナイト

BLACK NIGHT ブラック・ナイト

BLACK NIGHT

2006年7月12日 シネマート六本木にて

(2006年:香港・日本・タイ:98分:監督 パトリック・レオン、秋山貴彦、タニット・チッタヌクン)

 香港、日本、タイの監督がそれぞれ約30分のホラー映画を作ったオムニバス。

共通点は、女性が主人公であること、です。

 アジアの3カ国が、短編を競うというのは『三人三色』『THREE臨死』『美しい夜、残酷な朝』など色々あり、私はその国のホラーというジャンルでの温度の違いのようなものを肌で感じることが出来るので好きです。

 この3作は、第一夜『隣人』(香港)、第二夜『闇』(日本)、第三夜『記憶』(タイ)ですが、どれも起承転結がきっちりしており、何故怖いのか、が比較的わかりやすいというのが特徴です。

ホラーといっても、不条理な怖さではなく、執念や固執といった情のようなものに焦点をあてています。

訳判らない、イメージ的な美学で迫ってきたのが『美しい夜、残酷な朝』だったと思うのですが、この映画については、香港編では、不道徳な恋愛への罰、日本編では、いじめにあったが故の苦しみ、タイ編では、記憶が曖昧なままの恐怖ということで、一番好きなのは、香港編の女性の目の美しさです。

 ホラーでは、見てしまう、見えてしまう・・・つまり目というのが重要だというのがよくわかっていると思います。

ドアのレンズから覗く時の目のアップ、恐怖に見開かれた目・・・がとても綺麗です。

ホラーは映像美がないと、スプラッタになってしまいますが、映像の組み立てでは、タイ編の記憶の糸をどんどんつなげていくような編集が良かったですね。

日本編が一番、平坦なのですが、瀬戸朝香って、細いというよりもがっしりした体格なので、恐怖におびえる役よりも、謎に何故・・・がわかってからのふてぶてしさの方が怖かったりします。

 各エピソードのオープニングのタイトルが水から文字が浮かび上がるようで、とても綺麗。ホラーはやはり、綺麗な部分も出さないと(後は笑えるか・・・)観ていてつらい部分があるのですが、その点、この3作は、それぞれの温度からくる映像の違いが綺麗に出ていました。

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更夜飯店

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