機械じかけの小児病棟

機械じかけの小児病棟

Fragile A Ghost Story

2006年7月6日 九段会館にて(試写会)

(2005年:スペイン:102分:監督 ジャウマ・バラゲロ)

 夏休み前になると公開される映画、ファミリー映画、アニメ、ホラー映画のホラーの部。

 スペイン映画ではありますが、舞台となるのはイギリスのワイト島の閉鎖されそうな病院。

アメリカから訳あってやってきた看護士、キャリスタ・フロックハートは小児病棟に配属されますが・・・

 なんとも、寂しげなたたずまいのホラー・・・・この映画の印象は「寂しい」です。「わびしい」とも言えるかもしれません。

宣伝によりますと、痛撃の骨折ホラーとのことですが、その骨折もコキン、ポリ・・・で、レントゲン写真で、おお、骨折だ、という・・・・

よく言えば抑えに抑えた映画なのです。

ホラーにありがちな過剰な演出は避けています。だから、この映画はホラーというより、謎を解くミステリ映画の方がいいのかもしれません。

しかし、その真実、といのもなんとも切ないもので、やっぱり寂しいたたずまいの印象が。はっきり書いてしまうと、全然怖くない。

 ホラー映画の要素にしつこさ、執拗さ、というものがあります。

逃げても逃げても追ってくる、同じような事が何度も起きる・・・そんなねちねちが、人間の生理には不快で、怖いものなのでしょう。

または、急に飛び出してビックリ!ビックリ=怖いではないのですが、心臓によくないのは確か。

その両方が融合して上手かったのは、ブライアン・デ・パルマ監督の初期のホラー。大した事ではないのに、ひたすらねちねち、ビックリ!で筋通していました。

 この映画は、最初孤立しているような存在の看護士に、後半、小児科医師が妙に熱血になってくるのが、ちょっと驚き。

なにが彼をそうさせたのか?そんな事を考えてしまいました。最初は背景に近い存在なのに、後半、看護士と共に病院の過去を熱心に探る。ラストのキスも『眠れる森の美女』を伏線にしていますが、王子様ではありません。ラストシーンが、よくある、実はまだまだ続くのだ・・・・ではなく、あっさりさっぱりしています。

 このタイトルで、『時計じかけのオレンジ』の様な映画?という深読みは大いにはずれてしまいます。同じなのは「じかけ」だけ。

でもこの機械じかけってそうそうはずれたタイトルではないです。マシーン・ガールの悲劇なのですから。寂しい話なんですよ。

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