ハイジ
Heidi
2006年7月3日 科学技術館サイエンスホールにて(試写会)
(2005年:イギリス:104分:監督 ポール・マーカス)
私はアニメ版の『アルプスの少女ハイジ』を知りません。アニメは小学生くらいで卒業してしまって、どんなに周りが騒いでも、『キャンディ・キャンディ』も『ガンダム』も見ていないし、知らないのです。別に禁止されていた訳ではないのですが。
有名なのは知っていましたけれども、見ようとは思わなかったですね。子供の頃にヨハンナ・シュピリの原作を読んだような記憶があり、物語は知っていましたが細かい所までは覚えていませんでした。先入観がなくて新鮮に観られて良かったかもしれません。
7月に入ると、続々公開されるのが、子供も楽しめるファミリー映画とアニメ映画とホラー映画。
健全さということでは、もう堂々たるファミリー映画です。
でも、イギリス映画ということで、ちょっとちまちまとした感じとか、昔ならではのちょっと野暮ったい感じとか逆に良かったです。
ハイジを演じるのは『イン・アメリカ/三つの小さな願い事』で、車の窓ガラスに顔べたっとくっつけていた妹、エマ・ポルジャーちゃんです。
おじいさんは、マックス・フォン・シドー。
主人公、ハイジは孤児です。これ、欧米古典児童文学の基本。『オリバー・ツィスト』など。ハリー・ポッターも孤児で古典に忠実なのでした。
孤児でも明るくて純粋無垢なハイジちゃんに皆、心温まるような。それが押しつけがましくないのです。古典だったらもっとベタベタといい子で、大人から見た理想のよい子に偏ると思うのです。ちょっといたずらっぽい仕草なんか上手いです。ペーターについてヤギをひっぱっていくときの足のふんばりとか可愛い。ちょっとした所で暖かい笑いがおきるのです。『イン・アメリカ』よりちょっと大きくなって、時々大人のような表情を見せるのですね。
そして、フランクフルトの裕福なお家に引き取られるハイジ。ここで、ハイジに厳しくあたるのがジェラルディン・チャップリンのロッテンマイヤーさん。乳母、ナニーなんでしょうけれど、教育係、躾け係、見張り役・・・そんな昔のナニーの怖い存在が、もう毅然としていたのがいいです。クララは、もっとひねくれてても良いかな、と思うくらいによい子です。
変にコミカルにしないで、ひたすら厳しくハイジに接する描写がいいです。そしてそれが完全な悪者になっていないのもいいです。
古典といえば、悪役と善人が極端に描かれてしまうのですが、ジェラルディン・チャップリンのロッテンマイヤーさんは、品があります。
この人の品格って好きです。昔、リチャード・レスター監督版の『三銃士・四銃士』で、確か王妃様をやっていたのですが、絶世の美女というより王妃の品格があって良かったですね。王妃もナニーもこなせる品格。いいなぁ。(データでは四銃士ではなくて、新三銃士になっていましたが、私が観た時は四銃士・・・ダルタニャン物語にはうるさい私です)
車椅子のクララが・・・って所もさっぱりしていて、妙な感動を押しつけない、とても観やすいファミリー映画。
更夜飯店
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