藍宇~情熱の嵐~

藍宇~情熱の嵐~

Lan Yu/藍宇

2006年8月28日 DVD

(2001年:香港:86分:監督 スタンリー・クワン)

 製作国は香港ですが、舞台となるのは北京です。

間に天安門事件をはさんだ10年にわたる、男と男の愛の物語。

 ハントン(は独身の実業家、ちょっとした興味から、大学生の男の子を一晩「買う」

その大学生が、藍宇、ランユー(リウ・イエ)です。愛情というより、意気投合してしまった2人はそれから何度も会う事になります。

それは、友情なのか、愛情なのか?どうもはっきりしないけれど、月日がたつうちにハントンが本当に自分が愛しているのはランユーだと気づくまでの10年間。

 ランユーを演じたリウ・イエの魅力満載。貧しい村の出身だと言うけれど、清潔感があって、おとなしく、頭がよく、気だてもいい。

変なヒステリーを起こしたりせず、ハントンの事を想っている。

そんなたたずまいがいいです。いやらしくなく、かといってヒステリックでもなく、ドロドロの愛情ものではありません。

 この映画が凄いなぁ、と思ったのは時間の飛ばし方。86分で10年間を描く訳ですからそれなりに飛ばすのですが、普通、ドラマチックになりそうな事をあえて避けている。天安門事件の時も、その様子を描くのではなく、暗い夜道を車で走っていると、たくさんの自転車が通り過ぎていく。暗い道を次々とたくさんの自転車がある方向に向かって走っていくという異常な風景をさっと見せるだけです。

 ハントンはランユーの事が好きでも、社会的なモラルを重んじてやはり女性と結婚する。ランユーは黙って離れていく。

そして再会するときには、もうハントンは離婚していて、その間何があったかを描かない。

間があいても、会った時はいつもハントンの側にひっそりとにいる、ランユー。ランユーに何かしてやろう、としてもそこは謙虚なランユー。

もう、天使のような存在なのですが、やはり、怒る時もある。でも、その怒り方が「本気で怒ったり憎んだりしていない」というのがわかるというのが凄いです、リウ・イエ。

 最後に、ハントンが車を走らせる外の風景は、天安門事件が終わって発達をとげる、工事があちこちで行われている北京の街。

その風景がまた美しい動きとなっていて、ただの同性愛もののものめずらしさだけの映画にはしていません。 

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