探偵事務所23 くたばれ悪党ども
2006年8月16日 DVD
(1963年:日本:89分:監督 鈴木清順)
原作は大藪春彦、といっても探偵アクションコメディです。
主演は宍戸錠。
林海象監督の私立探偵濱マイクシリーズ、またはその後の『探偵事務所5’』あたりは、完全に日活アクションの影響大なんだなぁ、と改めて思います。
(濱マイクの私立探偵の師匠は、もちろん宍戸錠でした。エースのジョー)
この映画は、エースのジョーではないけれど、役名はジョーなのだった。わかりやすい。
警察に情報を流すと言って暴力団組織に囮になる私立探偵事務所23所長のジョー。
この映画が何がいいって、私は昭和30年代の銀座の風景がふんだんに出ている事ですね。都電、日劇ビル・・・・。
美術は木村威夫ではないので、室内シーンなどは美術をいびつ、と言ってもいいくらいに凝ってはいませんが、出てくる風景がいいです。
銀座の街のあちこちで建物を壊して工事をしている、という風景が出てきて、そうだなぁ、いわゆる高度成長期突入って・・・今の中国がどんどん工事をしているようなものなのかもしれません。
東京オリンピックの直後であり、ジョーが東京オリンピックの射撃の日本代表だった、射撃が得意である、なんて説明の仕方とかね。
ジョーを演じた宍戸錠のダンディさと軽妙さが、クサイんだけど説得力あるという。立ち姿が足が長くてとても格好よろしいです。
この映画は私立探偵ものですから、まず、生活感というものがないです。それが私立探偵ものの魅力なんです。
いきなり白のスポーツカー、いきなり歌と踊り、いきなり銃撃戦・・・・どんな「いきなり」が出てきてもおかしくなくて、楽しいというのがいいですね。
宍戸錠は背広、スーツ姿がよく似合う。それには、胸板が厚くないとダメなのですが、その点、宍戸錠はスーツを着ていても鍛えた体、というのが目に見えてわかるというのが好きです。
ビリー・ワイルダー監督の『サンセット大通り』で、老いた女優のグロリア・スワンソンが、若いウィリアム・ホールデンにタキシードを着せて、「本当にタキシードが似合うわね」と肩のあたりに指をツツツーってやる所がありますが、その時のウィリアム・ホールデンもがっちりした上半身で本当にスーツやタキシードが似合うのでした。
結構、サラリーマンの制服みたいな背広でも、似合う人はばっちり似合うのです。やっぱり日活のスターだなあ、と思うわけです。
宍戸錠の遊び人風のへらへらした表情と、鋭い表情の切り替わりの早さなんて好きですね。
最後はすかっと大団円。これは今の映画でも、テレビでも出せないムードが満喫できて、得した気分になりました。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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