関東無宿

関東無宿

2006年8月16日 DVD

(1963年:日本:93分:監督 鈴木清順)

 監督 鈴木清順、美術 木村威夫 共犯者コンビ第二弾。そして主演は小林旭。

 これは任侠ものです。といっても映画の出だしの松原智恵子(組長の娘)たち3人の会話のアップの切り返しの連続でまず、びっくりさせられるのではないかと。

 なんだかひらひらしている松原智恵子ですが、小林旭は、勝田という「若いのに昔気質の仁義を守る奴」です。(東京流れ者でもそういうキャラクターでした)親分が、殿山泰司で、この親分、良かったですね。着物にサングラスなんてバッチリきめる。

ひたすらストイックな美男の勝田。

松原智恵子はひそかに憧れていますが、冒頭の女の子たちの会話で「ハンサムじゃない?イカすわね!」とか言うのにちょっと笑ってしまいました。本当に「イカす奴」なんです。着流し姿がバッチリきまって生真面目で腕っ節が強い、兄貴分。

「男らしい」というのは、最近とんと騒がれなくなって、優しい男、男の子が主流の今、観るとこの「イカす兄貴分」というのはとても格好いい。

眉毛も刷毛で書いたようにくっきりとして、鼻筋が通り、頭もよく、度胸もある、う~ん、イカす。

 しかし、勝田がどうしても心惹かれてしまうのは、女賭博詐欺師の中村早苗。

この2人が、座敷で向かい合う時の照明と色使いが凄いです。手前に並んで座る2人、照明が暗くなって奥に飾られている月見の活花が青い照明で浮き上がる・・・また照明は、暗くなり手前の2人を映す。その間、2人は何も言わないのですが、その葛藤が見事に出ている美しいシーン。

 障子の向こうが、黄色だったり、紫だったり、画面を赤い波がかすめていったり、といった美術の凝り方が、話の面白さに拍車をかけています。女詐欺師の夫は、花札のいかさま師で伊藤雄之助。花札のいかさまで寿司を使うとか・・・そういったギミックもあり。

 そしてとうとう辛抱しきれなくなった勝田の逆襲のシーンはただの斬り合いではありません。一応、賭博場ですが、妙に広々としていて閉塞感がない。そして、勝田が斬ると障子が全てバタンとはずれ、その向こうには・・・・。衝撃的であり斬新。

 小林旭の着物姿他、着物の着こなしがとても綺麗ですし、立ち居振る舞いも堂々としていて今時、あまりない硬派な雰囲気がとてもよろしいです。

0コメント

  • 1000 / 1000

更夜飯店

過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。