東京流れ者

東京流れ者

2006年8月16日 DVD

(1966年:日本:83分:監督 鈴木清順)

 鈴木清順監督は日活アクション映画をものすごく沢山撮っており、少しずつ観ていこうかな、と思いました。

この映画のデータを見ると、この時期(1960年代)大体1ヶ月で撮影して、一年に3本も監督するなんて当たり前の世界。

どんなに映画が人気だったかわかります。また、時間が80~90分という長さなのも、公開するとき2本立てだったからなのですね。

 この映画はデビューしてまだ一年くらいの渡哲也の歌謡映画でもあります。『東京流れ者』という歌をくちずさみながら歩いたりします。

もちろん若くて初々しいとも言える渡哲也でした。

美術は木村威夫。鈴木清順と木村威夫は、監督と美術という関係より、共犯者という関係であった、というのもうなずけます。

 やくざを辞めて、ひとり親分に忠義を守っているテツ(渡哲也)である。

しかし、行く先々で過去のしがらみにより、他の組につけねらわれる。そして裏切り。親分の娘(松原智恵子)との苦い恋。

そして、テツを助けるのが流れ星といわれる一匹狼、二谷英明。

 この映画では、それぞれの登場人物はカラーが決まっています。渡哲也はライト・ブルーのスーツ。仇のやくざは、赤い上着、流れ星は緑のジャケット・・・そして、映像も黄色、紫、赤・・・といった原色をふんだんに使っています。

 流れ者というのは枯れ木である、ということから大きな銀杏の枯れ木が出てきますが、その横に東京タワーが見える。東京タワーというものの写し方が斬新。

とにかく映像が斬新。色使いが斬新・・・・で、普通のわかりやすいストーリーよりもその映像の色使いに感心してしまいました。

ゴーゴーバーの地下にある鉄パイプが極彩色だったり、そして、最後の銃撃戦。

ここが、一応バーの中ということなのですが、白で統一して、そこに様々な色のライトをあてる、ここはどこだ?という不可思議な場所で繰り広げられる銃撃戦は、色と銃という2つの要素が混じり合って、また、そのアクロバティックな銃さばきも、どこの話だ?という荒唐無稽さがあります。観ていて感心してしまいます。また、佐世保のバーでの乱闘のセットが壊れまくり・・・という大胆さ。

 話を見せる、ということを考えて、ただのステレオタイプな映画にしていない、というのが今観ても十分通用する映像美であります。

0コメント

  • 1000 / 1000

更夜飯店

過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。