ピロスマニのアラベスク

ピロスマニのアラベスク

Arabeski na tmu Pirosmani

2006年8月10日 千石 三百人劇場にて(ソビエト映画回顧展06)

(1985年:グルジア:20分:監督 セルゲイ・パラジャーノフ)

 セルゲイ・パラジャーノフ監督の父は、骨董品商、古美術商だったそうで、子供の頃からピロスマニの原画などをよく目にしていたそうです。

また、投獄されていた長い間(15年近く)シナリオを書く合間に絵を描き、人形や帽子を作り、そしてコラージュもたくさん残しています。

それは今、パラジャーノフ美術館に納められているそうです。

 これはピロスマニの絵に触発されたパラジャーノフ監督のまさにコラージュの感覚の短編。

ピロスマニの絵の説明はなく、絵から想像をふくらませた物や人物たちが音楽に乗って現れては消える。

そのイメージの広がり方は相変らず、色彩とユーモアにあふれ活き活きとしています。

『ピロスマニ』という映画が絵画に忠実であったのとは、少し違う脱落したイメージの連続です。

 これって、今の音楽プロモーション・ビデオでやってる事そのものです。曲からイメージを膨らませ映像にする。そこにストーリーはなく、観る者をイマジネーションの世界に誘う。

 パラジャーノフ監督が、保釈されていた間身を寄せていたのが、『ピロスマニ』の監督ゲオルギー・シェンゲラーヤの所だった、という実話から、このグルジア魂の団結の強さを感じ、また、ソビエト連邦の広さ、イスラムの世界が入ってくる西から中国に接する東まで、そんな広さを感じます。

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