涙そうそう

涙そうそう

9月22日 有楽町 よみうりホールにて(試写会)

(2006年:日本:118分:監督 土井裕泰)

 私は、沖縄を舞台にした映画が好きです。沖縄に行った事はないのですが、スクリーンから吹いてくる沖縄の風のようなものが感じられるととても嬉しい。

 この映画は、『涙そうそう』という曲をモチーフに作られた映画で、タイトルからして、もう涙そうそう。

さぁ、泣いてください、泣いてくださいって映画です。

さて、泣ける映画が良い映画かどうか、という事は私の場合は、否なんです。ただ、泣くという行為は、一種の浄化作用だから否定はしません。

笑いにも、色々な種類、冷笑、苦笑、微笑・・・とあるように、泣くにも色々あります。悔しい、寂しい、可哀想・・・・色々な感情で涙は出る。

 優しい兄、妻夫木聡も血はつながっていないけれど、兄を慕う、健康な妹、長澤まさみもとにかくさわやか。

素直にまっすぐにさわやかです。そのさわやかさは、全て、泣かせる為の努力の賜って思うくらいさわやか。

さわやかでさわやかで、だからこそ、同情の涙が流せるという所のツボは押えています。

 良かったのは、長澤まさみのすぐに失踪してしまう実の父が元Blankey Jet Cityのドラマーだった中村達也だったことです。

役者としても存在感のある人ですけれど、この映画ではトランペッターでした。ドラマーでも良かったかなぁ~と。

映画では悪役であるはずのこの実父が、あまり悪い人とは描かれないのですが、そこも計算を感じます。父を憎む話ではないからですね。

 主役の2人共、沖縄の言葉を綺麗に使っていると思うけれど、何故か、沖縄の風は全く感じられませんでした。

『深呼吸の必要』(やはり長澤まさみが出ているけれども、キャラクターは違う)では、沖縄らしい風景は出さないのに、沖縄の空気や風が感じられました。

そう、この映画は沖縄というよりも、あまりにもきちんと泣けるようにセットされ、計算されている、完璧な映画なのでした。観る方も泣かなくちゃ、泣かなくちゃって思うのではないかなぁ。

ちょっと『ALWAYS 三丁目の夕日』を彷彿させます。

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