幻遊伝

幻遊伝

Tripping/神遊情人

2006年9月6日 渋谷 Q・AXシネマにて

(2006年:台湾:102分:監督 チェン・イーウェン)

 日本から田中麗奈、大杉蓮、台湾からはチェン・ボーリン・・・というだけで、観に行ってしまいました。

 冒頭、いきなり2人(というのかな?)のキョンシーにたくさんの糸をつけて森の中を歩いている百鶴道士。

そこへ、突然、襲いかかる謎の人々。しかし、百鶴道士は、キョンシーでもってばばばっとやっつけてしまう・・・この出だしのスピード感とキョンシーが出てくる、あの独特な脱力感が、楽しい映画を予感させます。

 そして現代の台湾。台湾で漢方薬の店をやっている日本人の父、大杉蓮と台湾で生まれた日本人の少女、小蝶(シャオディエ)が田中麗奈。田中麗奈は、遊びたくても家が、地味な漢方薬の店で父も厳しいので、ちょっと反発的です。店で働く、無口な真面目な青年、阿明(アメイ)がチェン・ボーリン。

 父と喧嘩して、遊び友達と家を飛び出してしまって夜、家に帰りたくない小蝶は、友人たちとたまたま時代劇映画の撮影スタジオに入りこみ、かくれんぼをする。

所が、はぐれてしまった小蝶は、頭に看板が、がーんと落ちてきて(このいきなり看板、がーん、ごつん、がかなり唐突で可笑しい)気を失ってしまう小蝶。

 小蝶が目覚めると、あら、いつの間にか、昔の台湾にタイムスリップ。最初は映画の撮影だと思いこんでいるうちにあらあらと事件に巻き込まれてしまう。

ここで出てくるのが、冒頭の道士とキョンシー2人、そして、ハイション(チェン・ボーリン)とアーゴウ(ホン・ティエンシャン→サモ・ハン・キンポーの息子)。ハイションとアーゴウは、故郷の村が水害にあって、その為、悪徳役人に搾取されてしまったお金を奪回した身で、追われている。キョンシー2人と百鶴道士、ハイションとアーゴウ、そして小蝶が合流して、不思議な旅の始まりです。

 キョンシーの出てくる映画は久しぶりなのですが、キョンシーはゾンビと違って、色々と決まり事があるのです。キョンシーに噛まれてしまうと死んでしまう・・・というのはゾンビと同じでもそれを防ぐ方法(これがまた脱力もの)があったり、昼もキョンシーを動かす術があったり・・・この映画で一番、活躍するのはキョンシーの2人。もう、死んでいる人だからどんなに戦ってもダメージなし。

パンクスタイルの小蝶は、逆に昔の時代では、暗躍している女賊と間違えられてしまう。

 訳わからないままも、あっちでごつごつ、こっちでごたごた・・・その道行きがとても楽しいです。キョンシーが出てくる映画の脱力感というのも好きですね。最初は、帰りたがっていた小蝶も、だんだん皆に思い入れが出てきて気持複雑になっていくのです。

しかし、現代では、眠ったままの小蝶を目覚めさせようと、父と阿明が苦心する。

 映画全体を貫く、ちまちま感がいいですね。あまり大仰な事は描かないで、喧嘩したり助け合ったりの旅の様子がいいです。

大仰になりそうになると、さっとかわしているような所があります。ロケ結構、壮大なんですけど、あまり重みを感じずあくまでも軽いタッチで映画は進むから、観ていて疲れないのですね。

田中麗奈の台湾語は全て吹替えなのですが、微妙に台詞が合っていないのもご愛敬。

チェン・ボーリンのすれていない、朴訥さが、相変らずいいですね。変に気取った役をやらないでどちらかというとコミカルな役が、似合う青年。田中麗奈といいコンビです。お似合いだと思いますよ、この2人。

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