バウムクーヘン
Baumkuchen
2006年10月21日 柏市第一小学校体育館にて(東葛国際映画祭)
(2005年:日本:120分:監督 柿本ケンサク)
丸くて、穴があいていてぐるぐるっとした模様のあるバウムクーヘン。
この映画は4つの世界が描かれますが、出てくる役者が何役も演じていて、ぐるぐるっと一回りするような、そんなこの映画全体がひとつのバウムクーヘンのようです。そして、バウムクーヘンの種というのがあって、それを育てるとバウムクーヘンの実がなるのだという。
そんな物をテレビの通販番組で売っていたりします。
メインとなるのは川野辺家の3兄弟。長男、イチロウ(マメ山田)は理髪店経営、次男、ジロウ(山本浩司)はサラリーマン、三男ヒロト(本多章一)は対人恐怖症のため、家にこもりひたすら読書をしている。それぞれ彼女がいるけれど、僕は結婚します!と張り切っているのは次男ジロウだけで、兄と弟はきわめて冷淡なリアクションしかとらない。
3人の朝食はいつもバウムクーヘン。
そしてそのバーでその3兄弟の噂話をする3人は客、バーテンが3兄弟の役者さん。そこに現れた女性が、この本のことでしょう・・・と出したのが『バウムクーヘンの人々』
そして『バウムクーヘンの恋』という本を読んでいる女性。
そしてその本を書いている作家の世界。
この4つの世界を混乱させることなく、かつ、時間軸を器用に使い分けて、過去、現在、未来も同時に描く・・・のですが全体のムードはゆるゆる。そしてそれぞれ3兄弟が、恋愛を成就させていく様子がいつの間にか・・・・という自然さで描かれます。
肩肘はらないようなユーモラスな世界でありながらも、意外と恋愛成就は皆、ハッピーエンドにおさまるようになっています。
そこら辺が、話が脱線するようにみせながら、実は脱線していなくて、それは後への伏線になっている・・・・というのがいいですね。
三木聡監督が描き出すような、「あきらかに変な人たち」ではなく、あくまでも普通にいるような人々の間にまかれるバウムクーヘンの種=幸せの種。散漫ようで、きっちりとした一本の筋が通っている。
私はバウムクーヘンの種が欲しい。通販だと2980円で分割10回払い。1回298円だったら買います。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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