ボーイ・ミーツ・プサン

ボーイ・ミーツ・プサン

Boy Meets Pusan

2006年10月15日 柏 パブ・ホースにて(東葛国際映画祭)

(2006年:日本:80分:監督 武正晴)

 この映画のいいところ、ずばり、何の主張もないさりげなさ。

ストーリーだけ書くと、なんだか、釜山に行った青年の成長と出会いと別れとか・・・想像できるのですが、一切そういう感傷的な部分は避けています。そこが観ていて肩に力が入らず、良かったところですね。

 主人公のクリハラ青年20歳(柄本佑)突然のお仕事で3日間で釜山に行き観光用ビデオをとってこい、上司の光石研に言われてしまう。

韓国語はな~「アニョハセヨ」「カムサムニダ」「サラゲヨ」(こんにちは、ありがとう、愛してる)この3つだけしゃべっていればいいんだよ、と言われ本当にその通りにしてしまう、「何も知らない青年」が見た釜山。そしてたまたま、まぎれこんでしまう釜山国際映画祭。Pusan International Film Festival・・・通称、PIFF。

 人との出会いよりも釜山という町、釜山国際映画祭に出会ったその過程をドキュメンタリータッチで描いていて、本当にめずらしいものを、きょろきょろと見て歩く、そんな青年の目がカメラとなっています。観ている私も一緒になって釜山の町を歩いているような感覚になります。

一応、不思議な日本人女性と出会うけれど、それは恋愛にはならず、通り過ぎるだけで、クリハラ青年に「何か」を残す恋愛は起きません。

 しかし、ドキュメンタリータッチ(ゲリラ撮影?)で映される釜山国際映画祭の風景というのが、オープニングの風景から、映画祭の町の風景から・・・・これは2005年第10回の映画祭の様子なのですが、町全体が映画のようなにぎやかな町にまぎれこんでいる柄本佑のぽつんとした姿。

そして映画祭のイベントの撤去作業の風景をまた見つめる姿。

 そういう「主張のないすんなりと立っている姿」というのは柄本佑という役者さんは、本当に自然に出来る。

悪役的な演技や、トリックスター的な作りこんだ演技も出来るけれど、カメラを持って、ぼぉ~っとしている姿がものすごく自然で説得力あるナチュラル派だと思います。

本当に見ていて、自分も町を歩いているような、物語があるにせよ、あくまでも前面に出しているのは、「めずらしい風景を見ている眼」というのがとても気に入っているところです。

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