結婚のすべて

結婚のすべて

All About Marriage

2006年11月18日 京橋 フィルムセンターにて(第7回東京フィルメックス・岡本喜八監督特集上映)

(1958年:日本:84分:監督 岡本喜八)

 今年の岡本喜八監督特集上映は初期から中期にかけての映画が上映されました。

キャッチコピーは「日本映画のダンディズム」

どちらかというと男中心の映画を多く撮られた岡本監督ですがこの監督デビュー作は、ずばり「女にとって結婚とは?」というテンポのいい恋愛映画です。

 この映画、脚本が凄いと思いました。昭和33年当時、流行っていた太陽族映画への辛らつな皮肉から始まり、なんでもかんでも世の中、エロとセックスだ、と嘆く調子のナレーション。

 そんな中、主人公となるのは劇団研究生でモデルのアルバイトもしている活発な女性、康子(雪村いづみ)

そしてその対照的な存在として、家庭で良き妻を演じている姉の啓子(新珠三千代)

 活発でいつも元気にはねまわって、恋愛や結婚について現代的な考えを持つ康子役の雪村いづみがとにかく元気いい。

スクリーンではねまわっているような印象を受けます。

康子の周りの人物たちは、皆活発で積極的。雑誌編集長の加賀(三橋達也)は、康子の紹介で姉、啓子に出会いますが、「これぞ、ホームボディだっ」とほれ込む。

ホームボディって初めて聞いたのですが、だんだん活発になっていく女性に対して、「家庭で夫を支える良き妻そして、チャーミングな肉体をも兼ね持つ女性」ということです。反面、康子は今時の男に必要なのは3C・・・Cash, Camera, Carだ、と割り切っている。

プレイボーイ風の加賀は、実は「3年契約の契約結婚をしている」という設定。若い三橋達也の魅力もいいです。

 康子が中心になって色々な人たちの恋愛模様がテンポよく、リズミカルに描かれます。

すごく現代的なテーマを持っていて驚くのですが、このテンポとリズムというのは岡本喜八監督の映画に必ずと言っていいほど、貫かれているスタイルでした。

 姉、啓子は、生真面目だけれども、面白みのない夫、大学の哲学講師、上原謙につくしているけれども、強引で新しい楽しい世界を見せてくれる加賀にも、惹かれてしまう。

康子は、理屈っぽいこともあって、義兄の哲学の学生で、なんでも理路整然と話す大学生、真二に惹かれてしまう。

 康子も啓子もどちらも、立場は違っても、自分にとっての一番いい恋愛とは、結婚とは、ということを考えることになります。

映画では、2人の女性はそれぞれの結論を見出します。

楽しく観ながらも、昔も今もこれからも、男にとっての女、女にとっての男とは?というのは語られていく、そして答えは様々だ、とつくづく考えてしまいました。

この映画が公開された時のポスターは雪村いづみが男物のシャツを一枚だけきて、立っているというちょっと挑発的と言われたものだったそうですが随分、ポスターを盗まれたそうです。確かに、ポスターを見ると今でも、ドキとするインパクトありました。 

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