ああ、爆弾

ああ、爆弾

Oh! My Bomb

2006年12月24日 DVD

(1964年:日本:95分:監督 岡本喜八)

 2006年の東京フィルメックスで、特集上映された岡本喜八監督の映画なのですが、どうしてもこの映画はスケジュール上観られませんでしたので、DVDで。観終わって、、、、やはりスクリーンで観たかった映画でした。

 これは、強引にこじつけるならば、日本版『博士の異常な愛情』ですね。しかも、ミュージカル。

ドクター・ストレンジ・ラブ=ピーター・セラーズに並ぶ日本の俳優は伊藤雄之助でしたか。

 ミュージカルといっても歌って踊る・・・・というより、いきなり刑務所の中で始まる狂言。そういえば殺風景な板張りの刑務所って狂言の舞台みたいです。

ヤクザの大親分、伊藤雄之助演じる大名大作(って名前が凄い)が、ろうろうと自分の罪状を狂言で「謡い、踊る」のでびっくり。(しかも字幕つき)

しかし、大親分が出所してみると、世の中は変わっていました。自分の組は新興ヤクザに乗っ取られ、しかも選挙に出馬するという。

その選挙に出馬する男が矢東(やとう)という名前です。ひぃ、皮肉。

 刑務所で知り合った変な男と「万年筆型爆弾」でやっつけちゃおうぜ・・・・となりますが、その万年筆があっちいったり、こっちいったりハラハラドキドキはヒッチコック劇場(テレビ)見てるようです。原作はコーネル・ウーリッチの『万年筆』という小説です。ハラハラはあの手この手と姿を変えて最後の最後までどうなるかわかりません。スリリング!

 新興ヤクザは、ジャズや洋楽にあわせてちゃきちゃきと歩くところなどは『ダウンタウン物語』のよう。

そして、大名親分になるととたんに狂言、邦楽の世界になり、そこに新興宗教に凝った奥さん(越路吹雪なんですよ)は太鼓でどんどんどん・・・とリズムが重なり、もう、凄いリズミックな音楽世界。

 銀行が出てきて銀行員全員で「10円あわないの~~~帰れないわ、残業よ~~~~」と歌い踊り、矢東の預金をめぐって、大名親分はバキュームカーで突進。凄いです。

 普段、脇役として光っている伊藤雄之助、演技も過剰ですが、いわゆる邦楽的(歌舞伎とか)の誇張をしていますし、メイクもなんだか歌舞伎の隈取りみたいな眉毛。

 ここまでデフォルメしても、テンポとリズムと風刺と実験精神と権力への反骨精神貫く岡本監督のセンスって素敵。

ちなみに、岡本喜八監督は往復ビンタが好きです。

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