人生は奇跡の詩(うた)
LaTigre e la Neve/The Tiger and the snow
2006年12月28日 日比谷シャンテシネにて
(2005年:イタリア:114分:監督 ロベルト・ベニーニ)
原題は、「虎と雪」なのですがこれは、この映画のある意味、愛の約束事なので、地味かもしれないけれど、こちらの方がまだ良かったかもしれません。ロベルト・ベニーニというと「ライフ=人生」ってなってしまうのでしょうか。
全編、ロベルト・ベニーニ演技づくし。
ロベルト・ベニーニの演技って・・・欧米コメディアンの動きというのは過剰でせわしない。
アメリカだとジム・キャリーの動きとかですね。
思い出したのはスペインの『モルタディロとフィレモン』のドタバタぶりです。
あそこまで究極に笑えないドタバタだと逆に哀愁が出てきていいのですが、スクリーンで喋りまくり、動きまくるロベルト・ベニーニ・・・時々、ふ、と「まともな人」になるのです。
そっちの方が私としては、いいなぁ、と思うのですが、また、バタバタ過剰な動きと台詞の波。
愛しい人の為にバクダットまで行ってしまう詩人の男の話なんですけれど、強引だなぁ。
なんだか、こんな感じのバクダット作ってみました、みたいな「イメージとしての中近東」という描写が、表現力に乏しいというか。
自分の愛する人の為ならなんでも、やります・・・というより、ロベルト・ベニーニ、自分の演技が見せたいです、それだけです、という感じ。
だから、ロベルト・ベニーニが大好きな人が観たらたまらないのでしょうが、うわ、きついな、と思ってしまうと最後まできつい。
相手役のニコレッタ・ブラスキは、プロデューサーでもあり、私生活でも奥さんとのことで、まぁ、夫婦のノロケ話聞いちゃった気分になりました。
でも、何故、ジャン・レノ?しかもイラク人。
ラストシーンは綺麗で、救われた感じですけれど、観ている間はなんとなく救われない気分になったのは私だけ?
ニューヨークで'I am an Englishman.'と歌うスティングは素敵ですけれど、(一応)バクダットで'I am an Italian!'とひたすらわめき続けるロベルト・ベニーニは、だんだん疲れてきました。イラクの米軍を皮肉ったような描写も薄っぺらい。怒りもしませんが、笑えもしませんって感じです。
ジム・キャリーも真面目な普通の人の役の方が好ましいですが、ロベルト・ベニーニも・・・同様。
黙っていると知的で素敵な人なのに。でもこれが、感覚の違いってものでどちらがいいとか悪いとかの問題ではない・・・と自分を慰めてみました。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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