ユア・マイ・サンシャイン

ユア・マイ・サンシャイン

You're my sunshine

2006年12月6日 日比谷シャンテシネにて

(2005年:韓国:122分:監督 パク・チンビョ)

 韓国には映画賞の中にベストカップル賞というのがあります。

この映画の男女、チョン・ドヨンとファン・ジョンミンは2005年の映画ベストカップル賞に選ばれています。

 1人の女性をとことん愛し抜く男性、というのはめずらしい題材ではありません。『菊花の香り』なども妻が死んでもずっと愛し続ける夫・・・だったりします。

この映画はやはり主演の2人の魅力だと思います。ちょっと美女と野獣といった雰囲気。

ソクチュン(ファン・ジョンミン)という酪農家の36歳男性。

映画で、「フィリピン、ベトナムから花嫁を!」という垂れ幕があったりして、酪農家の嫁不足問題というのが出てきます。

ソクチュンもフィリピンにお嫁さんを探しにいったけれど、上手くいかなかった・・・というのが映画の冒頭。

銀行の通帳5冊も持っていて、夢は自分の牧場を持つこと、そして結婚をすること・・・なのですが、どうも結婚の方は上手くいかない。

 そんなとき、近くの喫茶店で働くウナ(チョン・ドヨン)という女性に出合う。

スクーターに乗って、通りすぎるその姿に一目惚れ。

しかし、ウナがどこへむかっていたかというと保健所。

ウナは、表向きは喫茶店で、裏はコーヒーの出前といいつつホテルで客をとる娼婦だった為、検査を受けなければならない身だったのです。

 もうソクチュンはウナしか目に入らない状態が凄いです。

ここまでできるなら、もうとっくに結婚相手いただろう・・・と思うくらいの熱心さ。

でも、ソクチュンが全体から出す雰囲気は、金は持っているけれど田舎者丸出し。

純朴ではあるけれど、垢抜けない。恋愛も気取った、気の利いた事が出来ない。でもお見合いなんかで妥協するのは嫌だ、自分が好きになった人でないと嫌だ、という頑固な一面も持っています。

だからウナは最初は、相手にしません。

ソクチュンを演じたファン・ジョンミンの、嬉しい時のうっとり顔もいいのですが、なんとしてもウナを守る・・・ウナじゃなきゃダメだ、と頑固になっている時の顔、ウナを失って、探し求める間に本当に顔の肉がげっそり落ちて別人のようになってしまう姿・・・迫力。

また、ウナ役のチョン・ドヨンも汚れ役ではありますが、おでこがかわいらしく、脚もキレイでさすがですし、ソクチュンと結婚して家事をこなす姿などとても愛らしい。

 しかし、2人には災難がふりかかる。しかしソクチュンはウナをあきらめない。

 これは実話だそうで、チョン・ドヨンが出演を決めたのは、モデルとなった男性のウナと出合う前と出合った後の別人のような写真だったといいます。

口では純愛とか、ドラマ、映画で純愛とか、もう純愛があふれかえっているけれど、実際は「ホントはそんなことはないのよね」というあきらめているような夢を体現しちゃった人がいた、というのが驚きですが、夢のようなメロドラマではなく現実味あふれた世界。

ソクチュンは恋愛には不器用で格好良くなんかないけれど、もう、人の目なんか気にしない。その素直なまっすぐさ・・・愛なのか固執なのか頑固なのか・・・とまで思う筋の通し方に打たれます。ある意味、ソクチュンに迷いはない。

メロドラマによく出てくる要素は「迷い」や「葛藤」なのですけれど、ソクチュンという男性にはそれがない。

今、ここまでできる人は希有である、という現実をよく見せてくれる映画なんですね。

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