Sad Movie〈サッド・ムービー〉

Sad Movie〈サッド・ムービー〉

SAD MOVIE

2006年12月2日 TOHOシネマズ錦糸町にて

(2005年:韓国:109分:監督 クォン・ジョングァン)

 タイトルや日本の宣伝からすると「号泣映画」のようです。

しかし、これはそんなにベタベタに泣かそうとはしていない、むしろ、別れがあっても色々な別れがあって泣かせる意図はあえて避けているような気がします。

ベタベタに泣かせる、のだったら、1組の話を集中してみっちりねっちりこれでもか、これでもか、と描けばいいところ、4組の話をつなげていく、という展開のさせ方をしています。

 4組8人のそれぞれの別れが最終的に描かれるかもしれませんが、それに至る描写は色々です。

この映画は色々を楽しむ映画ですね。

 恋人が消防士(チョン・ウソン)で、その身を心配しながらも、なかなかプロポーズをしてくれない事に不安を抱き始める女性(イム・スジョン)。

その女性の妹(シン・ミナ)は、火事で聴覚を失い、顔に火傷がある為、ロッテワールドで白雪姫の着ぐるみを着るアルバイトをしている。

ちょっと気になる絵描きの青年(イ・ギウ)がいるけれど、素顔が出せなくて、着ぐるみのまま、ちょっかいを出し愛嬌を振りまく。

下手なボクシングをやめない生活力のない男(チャ・テヒョン)。その恋人(ソン・テヨン)はもう別れたいと言い出す。

そこで、男は別れを言い出せない人のかわりの「別れさせ屋」を始める。

仕事ばかりで忙しい母(ヨム・ジュンア)が病で倒れた。小学生の息子は、今まで母とは距離があったのをやっと取り戻す。

 この4組の話が、少しずつリンクして、手際よく、描かれています。

チョン・ウソンとイム・スジョンが、いわゆる美男美女のカップルでも、さすがは個性派のチャ・テヒョン。

「別れさせ屋」のくだりがなかなか、しみじみとしていて、自分の恋を保守する為に他人の別れを自ら告げて歩くという、ちょっと可哀想だけれども、生活力もないし、ボクシングもいまいち、でもなんとかしよう、という姿がとても印象的。

もちろん、別れさせ屋が、歓迎される場合は少なく、ボコボコにされたり、泣かれたり・・・人を不快にするような事をする、というエピソードのはさみ方は、ちょっとコミカルにしていてチャ・テヒョンはこういう役ははまり役です。

 この映画はロッテが出資しているので、ロッテ・ワールドが舞台となりますが、白雪姫と7人のこびと、というのがディズニーのあれ、ではなくてなんだか、邪悪なマシュマロマンが7人います、みたいな着ぐるみ。

そして、白雪姫を密かに応援する「見かけは邪悪な7人」が私のお気に入りです。

 そして4組にはそれぞれの結末がくる。死による別れもあるけれど、それだけでなく、「悲しい」だけが別れではなくて別れの向こう、別れを乗り越えた向こうを暗示させるような、様々な別れです。

恋愛成就や結婚が、ゴールではないように、別れもまたゴールではない、という気持になる映画ですね。 

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