エラゴン/遺志を継ぐ者

エラゴン/遺志を継ぐ者

Eragon

2007年1月2日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて

(2006年:アメリカ:104分:監督 シュテフェン・ファンマイアー)

 予告編通りのきちんとお約束通りの展開という妙な安定感、安心感のあるアドヴェンチャー・ファンタジー映画です。

『ロード・オブ・ザ・リング』を越える・・・というのはちょっと肩の荷が重すぎる宣伝ですね。

もうちょっと軽く、中道路線で枠にきちんと収まっている娯楽映画です。

 もう、この手のファンタジー映画は、金かけていくら特撮凝っても、美術凝っても、よっぽど「ぎょっ」とするものがないと、高い映画技術に慣れて飽食してしまっている現代の観客には、配役違うだけで・・・同じ?という苦しい立場にあると思うのです。

ファンタジー映画に、戦いとか、戦闘シーンってどうしても必要なんでしょうか?

ファンタジーというのはもっと巾広い世界があってもいいように思います。

だから「ありえない純愛映画」がファンタジーに見えてしまうのでしょうか。なんだか、自分がとってもすれっからしになってしまった気分。

 『ロード・オブ・ザ・リング』が凄かったのは、なによりも監督、ピーター・ジャクソンの「ヲタク」精神大爆発・・・「もう、誰が何を言っても、反対しても、拒絶されても、自分で金出しても絶対に、絶対に、指輪物語は俺じゃなきゃ作れないんだっ!」というのを貫いた観る者をねじふせるような強力な「俺は作るぜ精神」・・・が、この映画には希薄なんですね。

 原作はベストセラーとなったファンタジー小説とのことですが、原作ファンが多いと映画化に関しては、観る前から「嫌だ、嫌だ、こんなんじゃない」と首を振ろうと身構えているファンがいるし、三部作の一作目で、今後大丈夫でしょうか。

 私がよく似ているなぁ、と思ったのは『スター・ウォーズ』のエピソード4(つまり、一番最初に作られた映画)です。

あれほど、ユニークなキャラクターは少ないのですが、主人公の生い立ちや悪役の設定など、実によく似ています。

フォースに近い、魔術も曖昧な所までよく似ています。何となく、魔術。ハリー・ポッターの面白さは、こうすれば魔術が出来るというまさに学校授業のようなリアルな魔術なんですが、エラゴンはなんとなく言葉で納得してしまう魔術。

 私が良かったのはドラゴン造形ですね。

なんと、女性?メス?female?とにかく女なのです。

声がレイチェル・ワイズで素敵。意外とレイチェル・ワイズの名前出ていないのが不満です。

青い冬瓜みたいな竜の卵から孵って、子ドラゴン。

うーん、子ドラゴン初めて見た(私はポケモンを全く知りませんから)・・・そしてそれが成長するところはとても映画的で、感心しました。

子ドラゴンは生まれたばかりは空を飛べないのです。

飛行訓練させるエラゴン青年の手からやっと飛んだ・・・・と思ったら空中爆発をどん、どん、どん、と続けて、ふ~~っ、ただいま。と地上に舞い戻った時はもう大人ドラゴン!

おお、ドラゴンってこういう成長するのかっ!

で、いきなり、声がレイチェル・ワイズなんでますますびっくりなのです。もう、ドラゴンの顔がレイチェル・ワイズに見えてしかたなかったです。

ドラゴンライダーという竜乗りの話ですが、竜に乗った時の飛翔感が、どこかしら「空中撮影・特撮ですね」という風で、観る者が一緒になって飛んでいるようなわくわくするような飛翔感がないのです。

 悪役は、ジョン・マルコヴィッチに期待していたけれども、ロバート・カーライルが怪演。

ジェレミー・アイアンズは、三銃士のアラミス役はこの人しかいない、と固く信じているだけあって、こういうコスチュームものはぴったりです。

 ジョン・マルコヴィッチ、ロバート・カーライル、ジェレミー・アイアンズ・・・ここまで揃えて、あ、ちともったいない娯楽大作。

金かけた大作とわかるのに、どこかしら、ちまちま感漂って、哀愁漂っていました。 

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