悪夢探偵
Nightmare Detective
2007年1月17日 シネセゾン渋谷にて
(2006年:日本:106分:監督 塚本晋也)
塚本晋也監督の世界は都市と肉体。
この映画でも、高層ビルや鉄筋コンクリートの建物などの都市の映像に合わせ、自殺か他殺か?自分の体を眠りながら切り刻むという謎の殺人事件を追いながら、肉体というものを生々しく独特のムードを持って走っていきます。
そしてこの殺人は、「0(ゼロ)」という謎の人物からの電話から「悪夢」にかられて、自分を殺すという事なのではないか、というエリート刑事・霧島(hitomi)が、「悪夢探偵」と呼ばれる青年、影沼(松田龍平)に出合って、悪夢から犯人を割り出して欲しいということになる。
キャリアからわざわざ現場に来たエリート刑事はこんな短いタイト・スカートははかないよ~などと思いつつも、長いおみ足でカツカツカツと歩く霧島。
影沼といえば自殺願望の鬱な青年。「いやだ、あああああ、いやだ、ああ、いやだ・・・人の夢に、悪夢に入っていくってどんな事かわかりますか・・・こんなことはやりたくない」と嫌がる、首根っこをガシとつかまえて霧島は自ら「0」に連絡をとる。
悪夢のシーンというのが、特撮を使った世界ではなくてあくまでも高層ビルや、駅、道路などといった所をカメラが怪物のようにガシガシガシガシ~~~~~とガクガク動きながら疾走するセンスなんか、ひょ~~~~って喜んでしまう私です。
また、暗い狭い所に閉じこめられるという閉塞感の出し方なども、悪夢って結構、狭く暗く奥行きのない世界なんだな・・・と納得する部分あり。
松田龍平は、世の中に嫌気さした顔が出来る男優、ベスト1かもしれません。(ちなみに女優は市川実和子)
本当に、いやだぁ~~~~~~~~と嫌がる猫背の背中。
それをスタイルいいhitomiが、がっしりつかまえちゃう、なんて結構笑える絵でした。
夢というのは、描きやすそうに見えて、案外安直なイメージになってしまう所の悪夢や悪夢的な映像の連続のさせ方がスピード感あって良かったです。
笑ってしまったのは、夢に入るとき影沼はフード付のコートを着ているけれど、中でもぞもぞ洋服脱いで裸になるんですね。
そこがなんとも意外だけれども、生々しくて、でも、妙な可笑しさと不気味さが出ていて、あ、そうか~と思いました。
そして、水のイメージ・・・悪夢に入っていく影沼の姿は、水中に沈んでいくイメージでとらえられます。
深い水底にゆっくりと落ちていく、底の見えない暗さの出し方も好きです。
これはシリーズ第一作目、なのだそうで、あああああ、はやく、次がみたい~~~~~。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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