エクステ

エクステ

EXTE

2007年2月22日 池袋シネマサンシャインにて

(2006年:日本:108分:監督 園子温)

 去年観た映画の中で、強烈な印象を残した園子温監督の『奇妙なサーカス』

その後、新作が公開されても見逃していたので、今回こそは・・・と。

 これは、一応、宣伝はホラーとなっていますけれど、どちらかというとコメディの要素もあり、怖くて怖くて・・・というものではありませんでした。怖いというより突拍子もない映像が出てくるのです。

 

 エクステというのはヘアー・エクステンション、付け毛のことなのですが、ある港のコンテナの中に・・・髪の毛がびっしり・・・というところでびっくりするというよりも笑ってしまうのです。突拍子もなくて。

しかし、そこには髪の毛だけではなくて少女の死体も・・・死体安置所の山崎(大杉蓮)は、普段はおどおどしているけれども実は過剰なほど髪の毛にこだわる髪の毛フェチっていうのでしょうか・・・・その少女の死体から、まだ頭髪がのびていることを知った山崎はこっそり、死体を盗み出す。

 そして、栗山千明扮するヘア・スタイリストの優子。友人と共同生活をしていて、「これは朝の食事である。そしてわたしはヘアスタイリストの卵なのである。この街は・・」という脚本の台詞を棒読みするような会話を楽しげに交わしていたりします。

しかし、優子には、悩みの種が。それは、奔放でわがままで残酷な姉(つぐみ)の存在。

姉は、自分の子供を虐待した上に、優子に押しつける。そして言いたい放題やりたい放題・・・殺してやりたいくらい憎々しいつぐみのいっちゃってる演技がすごい。

ここら辺のつぐみ演じる「過剰なほど嫌な悪女」の描写が迫力。

 優子は傷つきながらも、ヘアスタイリストを目指し、姪の面倒もみる・・・しかし、髪の毛フェチの山崎にみつかってしまい・・・美しい髪の毛が全てである、という山崎から目をつけられ、死体の少女からとった髪の毛をエクステ、として美容室に持ち込む。

 その髪の毛は「怒り」を感じると暴走する。その様子がすごいのですね。時には部屋いっぱい髪の毛。画面真っ黒。

最近は、以前の茶髪より黒い髪が流行ってきたようですが、まさに、栗山千明は山崎ではないけれど、「本当に美しい髪だねぇ」と栗山千明の髪の毛が存在しなければ成り立たないような映画です。

 死体の少女の悲しみは、虐待された少女の悲しみと共鳴しあい、次々と惨劇がおきる。

栗山千明のもうひとつの特徴は、目の力。

おびえて、悲鳴をあげるよりも、なによっとにらみつけるときの目の力が強烈なんですね。

 さわやかであり、残酷であり、滑稽であり、突拍子もない・・・山崎を演じた大杉蓮の「ぼくちん」とかいう言葉遣いのしらじらしい気味悪さ。

そんなものがいりまじって、ドロドロしているようでもどこか美しいような、哀しいような雰囲気がとても良かったですね。

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