東京オリンピック
2007年3月4日 DVDにて
(1965年:日本:148分:総合監督 市川崑)
年齢がばれてしまう話題のひとつに「最初に記憶のあるオリンピックは何か」があります。
職場で、「ロサンジェルスオリンピック・・・?」と言った人がいて、えええ~それはわたしはもう働いていたわ・・・とショックを受けたり。
しかし、さすがのわたしも1964年の東京オリンピックは知りません。
このDVDは2004年アテネオリンピックの時、20分あまりをカットしたディレクターズカット版でした。
公開時は、インターミッションをはさんで3時間近い映画だった訳です。
よくテレビで中継されるオリンピックとは違う、映画としてのオリンピック。
何が違うか、というと、テレビ中継は、日本が活躍する(期待される)種目を中心に放映しますが、この映画はオリンピックというものを、そしてその当時の日本というものを記録する、という意図がまずあります。
映画は、冒頭、オリンピックのためにビルや建物がどんどん破壊されていく様子から始まり、驚きます。
今、中国が北京オリンピックのために、建設ラッシュになっているのと同じです。
オリンピックという2週間のスポーツイベントの為に、街を新しくする様子。
アジアで初めてのオリンピックである、という自負と、期待がふくらんでいます。
それから、この映画は、スポーツの結果を見せるものではなく、「人」・・・競技をする人だけでなく、それを見ている日本の人たちをクローズアップしています。
陸上競技では、全体を見せるのではなく、ひとりのアスリートの足の筋肉、そしてスタート前の緊張した表情をじっくり映す。
だから、オリンピック中継ではない、オリンピック映画なのです。
観ていて興味深いところはたくさんあったのですが、まず、このころは中国は参加していません。
圧倒的に強いのはアメリカとソビエト。
開会式で、空砲が鳴らされると、その音の大きさにびっくりしてしまう男の子の表情なども見逃さない。
また、たくさん鳩を飛ばすとき、何故か一羽だけ、飛ばずにぽ~っとしているのを、選手が近寄っていって足でつんつん・・・と飛ばそうとしていたり。
面白い所を見ているなあ、と感心します。
ほとんどの競技を映すという点では、日本ではまだ馴染みのない自転車競技が八王子の田んぼの道を走っていて、沿道には藁葺き屋根の農家、そこをたくさんの自転車が走っていくのを、めずらしい・・・と目を丸くして見ている人々の姿。
雨が降りますが、傘がほとんど、黒。そうか、まだビニール傘なんてない時代で、傘といえば黒だった訳ですね。
時々ナレーションが入りますが、脚本は市川崑、和田夏十、白城依志夫、谷川俊太郎。
これは、東京オリンピックを知っている家族から聞いたのですが、この映画は撮り直せ・・・と言われたそうです。
それは、日本のお家芸である柔道の場合、オランダの選手が優勝する姿をじっくり追っていて、いわゆる「我が日本が活躍する場面が少なすぎる」ということかもしれませんが、それでは、テレビ中継やテレビのオリンピックダイジェストと変わらない。
あくまでも、オリンピックという世界の人々が集まる祭典にどれだけ日本が、日本人が熱中していたのか、その時代の日本とはどうだったのかを記録した貴重な映画だと思いますね。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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