さくらん

さくらん

2007年3月18日 新宿ジョイシネマにて

(2007年:日本:111分:監督 蜷川実花)

 よく外国人旅行客向けの日本みやげ・・・極彩色のぺらぺらなキモノ・・・など見かけることがありますが、そんな印象を受ける映画でした。

監督が写真家の蜷川実花ということで、写真のモチーフに多用されている金魚をたくさんだしたりしています。

 極彩色の美術、衣装・・・本当に一生懸命凝って、江戸時代を現代的にポップに前衛的に、ヴィジョンとしてみせよう、みせよう・・・という努力がよくわかるのです。

あまり力がはいりすぎていると、観ている方は疲れてしまい、観客の鑑賞生理を少し無視している暴走かもしれません。

わかりすぎるくらい、派手な色遣いをしたりしていますが、原作が安野モヨコの漫画だそうで、やはり現代の女性像などに人気がある、ということで、自然さを求める方が無理なんですね。

明らかに奇をてらった映像の連続なのですが、それがストーリーに沿っているかというと、これまた無理がある・・と。

 江戸時代の吉原遊郭が舞台となりますが、音楽を椎名林檎が担当していてサントラタイトルが「平成風俗」

遊郭の花魁・・・という世界、艶っぽい世界よりも、あからさまな現代の風俗業を描いたような部分もあり、折角凝りに凝った美術や照明や色遣いがもったいない気持になりました。

 遊郭に売られるということはどういうことか・・・というのが、ラストになってあららららら・・・って現代になってしまうのはいかがかと。

遊郭の中での女同士の葛藤も、ヒステリック。いまどきの若い女の子が、キィキィ喧嘩しあってるみたいです。

 幼くして売られてきた土屋アンナが、反抗的で、下っ端の時、大夫の菅野美穂に「花魁なんか、なりたくねえやっ!」とわめくと、菅野美穂が「花魁はなりたくてなれるものではない。なりたくない、なんて、なってからお言い」とピシリ、と言うところは、さすがに強気の土屋アンナも言い返せないのです。

それは、何であっても本当のことだからです。

 まぁ、キレイな女優さんがキレイなキモノ着て、遊女や花魁になって・・・という絵が楽しめる人はそれはそれでいいかもしれません。

俳優は、脇役含めてかなり贅沢なキャスティングをしていますので、キャストを見るというのも楽しみのひとつになるかと思います。

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