オール・ザ・キングスメン

オール・ザ・キングスメン

All The King's Men

2007年3月22日 虎ノ門ニッショーホールにて(試写会)

(2006年:アメリカ:128分:監督 スティーヴン・ザイリアン)

 実話をもとにした、リメイク版です。

ルイジアナ州知事になったヒューイ・ロングという人をモデルにノンフィクション小説でピューリッツァー賞をとった原作、だそうです。

 いわゆる汚い政治の世界・・・というものを骨太に描いていますね。

ウィリー・スタークという一出納係が、知事にのしあがるまで・・・ショーン・ペンは、キャメロン・ディアスのキャメロン演技とならぶショーン演技で熱演しています。拳を振り上げ、声をからしての大演説・・・なんて上手いものです。

 ただ、主役はあくまでもひとりの政治家の側にいてそれを見ていたジャーナリスト(ジュード・ロウ)

ジャック・・・という元新聞記者は、政治家の秘書のようなアドヴァイザーのようなスポークスマンのような側近になるのですが、決してべったりと味方にはなろうとはしない、いつも距離をおいています。

それは、ジャックがアメリカに住むイギリス人で上流階級の人間である・・・といった周りの人間関係からもきているようです。

人間関係が複雑になっていき、最初は質素で潔癖だったウィリー・スタークも「汚れていく」

 大体がウィリー・スタークの演説というのが、汚職や賄賂にまみれた政治家を民衆に告発して、共感を得る・・・という方法なので、貧しい人たちからは指示を受けても、どんどん、政治家には敵が増えていく、というやり方をするのです。

そんな演説とうらはらに、のしあがるごとに権力を行使し、金儲けに走る・・・姿を、じっと見ている男。

 この映画はとても映像が深みがあって、美しい映像です。

照明や色合い、衣装などとても深みがあるのが一番の特徴です。

明るいように見えても、暗い闇を持つ男たちの姿を美しく切り取ってみせます。

音楽がとても大袈裟なのが、ちょっと残念なのですが、最後になってどんどん地位の高さとは反比例して、潔癖さや謙虚さといったものから脱皮し、最後には「善は悪からも生まれる」とまでいわしめる政治の世界。

 力みの演技のショーン・ペンに対して、氷のように冷たい気持を持ち続ける抑えた演技のジュード・ロウ。

みごたえはある映画です。ただし、力入っている分、観ている者の気力をうばいます。

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