アルゼンチンババア

アルゼンチンババア

Argentine Hag

2007年4月1日 東銀座 東劇にて

(2006年:日本:112分:監督 長尾直樹)

 この映画、意外なのはGrasshoppa!が制作しているんですね。

監督は『さゞなみ』の長尾直樹監督というので観てみました。

 草むらの中に建つ不思議な館に住むアルゼンチンババアと呼ばれる女性。

母が亡くなったとたん、主人公、北堀真希の父(役所広司)は、失踪する。

しかし、アルゼンチンババアのもとにいたのだ・・・ということから、主人公の父親奪回と母への本当の決別のあれこれ・・・なのですが、アルゼンチンババアを演じたのが鈴木京香なんですね。

 映画では、アルゼンチンババアの館はものすごい悪臭でアルゼンチンババアも臭いがすごい・・・という設定で役者さんもそういう演技をするのですが、全然汚く見せていないのです。

館やその周りの風景はテリー・ギリアム監督の『ローズ・イン・タイドランド』そっくりなのですが、あの映画のぷんぷんと臭う「臭さ」というものがこの映画にはないのです。

周りから変人と思われている汚い女性のもとに父が走ってしまった・・・というショックがあまり伝わってこないのですね。

鈴木京香も「においそうな人」には映していません。

映画『天使』の猫屋敷の鰐淵晴子のように、不思議屋敷・・・にすればいいのに、ことあるごとに「くさい、くさい・・・」が変に思えてしょうがありませんでした。全く臭そうに見えないのです。

 良かったのは、少しだけ出てくる田中直樹です。

足の悪い整体師ということで、ちょっと北堀真希は心惹かれてしまうのですが、ここはあまり語らずさらり、と見せていてこういうのが上手いな・・・とうなったのが『さゞなみ』なんです。

 原作はよしもとばなな。

よしもとばななの世界は、不思議というよりやはりどこか「甘い」ので、その甘さが受け入れられるかどうか、なのだと思ってみたり・・・しましたが映画となると映像と音とそして空気です。

この映画は空気が設定に相反して綺麗すぎるのですね。

0コメント

  • 1000 / 1000

更夜飯店

過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。