華麗なる恋の舞台で

華麗なる恋の舞台で

Being Julia

2007年4月7日 渋谷 ル・シネマにて

(2004年:カナダ=アメリカ=ハンガリー=イギリス:104分:監督 イシュトヴァン・サボー)

 この映画のいけないところ・・・それは日本語タイトルですね。

なんという陳腐なタイトル。

原題はBeing Juliaで、原作はサマセット・モームの『劇場』という短編小説。

邦題といい、宣伝といい・・・・キレイキレイな白人の上流階級の世界をながめたいという奥様御用達「午後の紅茶映画」にしておいて、観てみると、とんでもない図太い女優魂が貫かれたしぶとい映画でした。

 アネット・ベニングが1930年代のイギリスの大舞台女優なのですが、「わ・た・し・が『大女優』な・の・よ!」と大声張り上げている、女優、女優と自己主張し、自分の道をふさぐ者はなんとしても排斥してみせるわっという、プライド高い扱いにくい特殊な女性を堂々と演じています。

しかし、大女優といっても歳には勝てない。

実績、名声はあっても若さは取り戻せない。

アネット・ベニングの顔だけでなく、首にまでたくさん皺があるのが、ある意味、アネット・ベニング、仮面をかなぐりすてての大演技です。

 ジュリアは、夫(ジェレミー・アイアンズ)は劇場の興行主、息子は有名高校の生徒、自分は大女優の名声を欲しいままにしているのに、なにか不満で、ヒステリーを起こす。

そんなとき、アメリカ人青年トムが大ファンです、と近づいてきて、恋に落ちてしまうジュリア。

見て見ぬふりをしているクールな夫。

 しかし、若者は若者で勝手です。しかし、大女優のプライドを傷つけ、怒らせたら・・・・・怖いことになるのだ、ということをだんだん、じわじわと追いつめるように「仕返し」するのを、爽快と感じるか、傲慢と感じるか・・・

映像は綺麗だし、役者は大演技だけれども、女の怖さと身勝手さ、そして恋愛ゲームの怖さにふるえあがってしまいました。

なにがあってもジュリアは勝つ。傷ついたら、その倍、傷つけ返す、世界は自分を中心にしか回っていない、と思いこむくらいでないと「大女優」はつとまらない・・・という非常にシビアな大人の世界を描いた映画ですね。キレイキレイというより、怖い怖いでした。

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