13/ザメッティ
13 TZAMETI
2007年4月14日 シネセゾン渋谷にて
(2005年:フランス:93分:監督 ゲラ・バブルアニ)
2005年 ヴェネチア映画祭新人監督賞受賞
この映画、何が強烈かというと予告編です。
モノクロの画面で13人が輪になってロシアン・ルーレット・・・そしてば~んと「4月みんなで輪になってロードショー!!」
おいっ!!そんな映画じゃないでしょっ!と強烈な印象を残した映画でした。
逆にもう観る前から怖くなってしまう映像だったのですね。
ザメッティとは、グルジア語で13。
監督も主人公の22歳の青年もフランスのグルジア移民。
若いけれど、狭い家に大勢の家族が暮らし、主人公の青年は屋根修理の仕事をしている。
一見金持風の家の屋根を修理しているときに垣間見てしまう「なんだか怪しい雰囲気」
そして、その家で手に入れた封筒に入っていた、「13」と書かれた紙と列車のチケット。
仕事をなくした貧しい青年は、列車に乗って・・・・行きついたのは森の奥。
秘密の賭博場で、金持たちが「ロシアン・ルーレットを続けさせて、誰が生き残るかに賭ける」・・・そんな競馬でいうなら馬になってしまった・・・と知った時はもう、引き返せない。
観客たちは妙に紳士的で、静か、賭博場にありがちな喧噪というものが全くないのが逆に怖いです。
・・・ロシアン・ルーレット賭博なんて、ショッキングな事なのに、それをあからさまにショッキングに映したりしません。
観客のひとりが言います。「13人か、少ないな。トルコでは42人だったぞ」
わたしが戦慄したのは、「Tシャツの汗じみ」ですね。
馬たちは、番号のついたTシャツを着せられ、ロシアン・ルーレットをさせられる。
恐怖と緊張のあまり、Tシャツどろどろに汗をかく男もいる。大胆不敵な男もいて、汗が全く出ていない・・・主人公はだんだん何が起きるのかに気付き始めてから・・・汗じみがどんどん、恐怖を現わすかのように増えていく。
「拳銃を上げろ。ランプが点灯したら、引き金を引け!!!」
スクリーンには、ランプが映され・・・・ぱっと灯がつく!バン!・・・・・ドタン・・・ゴロン・・・カメラはずっとランプを映しています。
全編を漂う邪悪さと主人公の青年を演じたギオルキ・バブルアニの細かくふるえる唇といった手垢のついていない、すれていない新鮮な演技。大仰に怖がるのではなく、頭の中まっしろです、というのがよくわかる緊張感の出し方の上手さ。
そして密かに警察がこの邪悪な賭けを捜索している、という事も描かれますが、「お前は○○の臭いがするんだよ」という迫り方も怖い。
緊張感に満ちた90分。
ショッキングな内容を、見せ物といった風にこれみよがしに安直に描かず、芯を太くした恐怖映画の傑作だと思いますね。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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