監督・ばんざい!
2007年6月17日 シネセゾン渋谷にて
(2007年:日本:104分:監督 北野武)
前作、『TAKESHIS'』で、俳優としての自分を壊してみせた北野武監督、「自分を壊すもの」第二弾。
今度は、監督である自分を壊してみせます。
だから、自分を壊してみせることに作っている方はとても楽しく作っているような感じを受けるのですが、これをウルトラ・バラエティ・エンターテイメントとして笑ってください、というのには微妙なところが・・・
北野武の躁鬱がよく見えるのは前作であり、この映画は監督である自分と、今の日本の映画界の躁鬱をかなり中途半端に作っています。
観客に受ける映画を作る、そして得意のギャング映画は作らないと決心してしまったある監督(ビートたけし)
小津安二郎風の古き良き日本映画を作ろうとしても、品格がなく、今、話題になっている昭和30年代はよかった映画を作ろうとしてもあまりにも自分の思い出が強すぎて、「昔はよかった」には全然ならないし、ホラー映画を作ろうとしても全く怖くないし、純愛映画を作ろうとしても、先が続かなくて挫折、では、時代劇はどうだ!特撮なら日本が一番と、SFスペクタクル映画を作ろうとしても・・・?
今の日本の映画界を独自の斬り方で、見せる・・・というにはどれも「おとなしい」
本当はもっとはっきり言いたいことがあるのではないのですか?という歯がゆさを感じて、「ここで笑うんですよ」とはっきり言われてしまうと逆に笑えない。バカバカしさが中途半端、毒も中途半端、自分を捨てきっていない中途半端。
映画を作ることは大変なんだよ、というのを戯画的に作ろうとするにはあまりにも芸のないストレートなアイディアです。
北野武監督の歯がゆさがよくわかるといえば、わかるのですが、こういう映画のつくりかたは、禁じ手かもしれないな、と思います。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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