プレステージ
THE PRESTIGE
2007年6月18日 日比谷 スカラ座にて
(2006年:アメリカ:130分:監督 クリストファー・ノーラン)
たまたま、原作、クリストファー・プリーストの『奇術師』を読んだところで、映画化・・・というタイミングはなかなかないので、イソイソと観にいきました。
クリストファー・ノーラン監督は原作の設定を大幅に変えているので、原作は原作、映画は映画という独立した2つの世界でした。
原作では、現代と19世紀末のロンドン・・・と時代がわかれ、2人のイリュージョニストの孫たちが現代で出会い・・・といったところは大胆にカットし、19世紀末の奇術師の世界を描きます。
ルパート・アンジャ(ヒュー・ジャックマン)とアルフレッド・ボーデン(クリスチャン・ベール)というライバル同士の奇術師。
2人がいきついたのは、「瞬間移動」という大技。
しかし、この2人はことごとく対決し、お互いのステージをぶちこわしあう・・・原作ではそこら辺はアンジャとボーデンの手記を読む、という形で、どちらが本当の事を言っているのかわからない・・・という面白さがありましたが、この映画では、この2人の対立の因果関係が明確にはっきりとしています。
しかし、監督はクリストファー・ノーランですから、重厚で暗い画面・・・映画の冒頭は森の中にシルクハットが山のように積み重なっている・・・という不思議な風景なのですが、この映画の芯でもありますね。
そこら辺を最初に、ばん、と見せてしまうあたり自信のほどが伺えます。
そう、この映画は、出てくる人々皆、自信にあふれているのです。
だからこそ、ライバル心がめらめらと・・・
そして、2人の間に出てくる、美人の助手のオリヴィア(スカーレット・ヨハンソン)は、原作より影が薄くて映画の華、といった感じでした。
マジックの世界の不思議というより、マジックの世界に命をかける2人の舞台裏の意地の張り合い、足のひっぱりあい。しかし、2人の「瞬間移動」のやり方は、全く違うものになります。
お互い、どうやっているのか探ろうとするのですが、なかなかわからない。
舞台に立っているのは、マジシャンだけですが、影には、そのマジックを考案し、助ける役目の人がいて、それがマイケル・ケイン。
ネタをばらしてしまえば、なーんだ、なのですが、マジックというのは騙されて、不思議がっているのがいいのです。
この映画自体が、マジックそのもののようでで、あの瞬間移動の機械が、青白い光をバリバリバリ~~~とさせるシーンなど迫力。
クセがあるのは、ボーデンことクリスチャン・ベールの方で、貴族然としているのがアンジャことヒュー・ジャックマンです。
だから、ボーデンはわかりやすいのですが、アンジャがちょっと表情が読めない・・・という濃淡のつけ方が上手かったですね。
そして、美術や衣装やセットなども、細かいところまで、気を使った重厚さがいいです。
役者や原作だけでなく、この映画の作り込みも手が込んでいて、贅沢な映画です。
しかし、瞬間移動の機械の発明家、ニコラ・テスラが、デビット・ボウイだった、って後から言われて気がつきました。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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